188話
紗月の目論見は儚く関に論破され、黙らされた。
さっそく今までの功績で築いた信頼を元にリーダー然と指示を出し始める関は、山を崩して市街地と分断するには相応の時間がかかることから、急いでやろうと発破をかけた。
既に自衛隊との衝突時に使う時のことを想定し、山崩れを起こしやすい脆いポイントは把握しており、そこを爆破すればいいという。
二手に別れ、穴を掘り、爆弾を仕掛ける単純な作業の準備をさっそく始めようとしたその時、紗月は怒声に近い声で割って入り、隊長代行の自分に従えと強く出た。

目的は晴輝の救出。
だから防衛ではなく山形市民を守るという名目で打って出ると言い出し、考えた作戦を聞けと女子高生らしからぬ居丈高な態度で上に立とうとする。
しかし関は呆れかえるだけでヤバい奴認定し、これでもかとめんどくさそうに対応し、お呼びじゃないことを突きつけたのだった。

そう言われると紗月はまた黙るしかなくなり、関は隊員たちに指示を飛ばし、デモ共はどうすべきか分からずにざわつき、残した家族にも感染が起きているのを知り始め、絶望が伝播していく。
関と対立しても勝てないと悟っていた紗月はだから、こうなる前に事前に交渉しておきたかったのだが、どこか山で見張っていて会うことができないままになったので一か八か、いの一番に保菌者をぶっ倒して頼れるところを見せ、勢いで指揮権を掠め取るつもりだった。
その目論見はあっさり失敗し、前線で戦って来た関との信頼の差をまざまざと見せつけられた。
関に否定された結果、捺された嘘吐きの烙印。
最早ここまでかと思う一方、誰も彼を助けに行こうとしないのはどうしても看過できず、生死も分からないまま避難民の中で英雄にさせるわけにはいかなかった。

すると紗月の諦めきれない思いが伝わったのか、今まで黙っていた山田が紗月の話を聞くくらいはすべきだろうと擁護に回った。
関は山田に諭されようが信じようとしないが、山田が擁護に回ったことで紗月に再び注目が集まるきっかけになった。

ここで隊長代行に指名された真実味を出したい紗月は、自分がどんな人間か考えた。
晴輝のように強くもなく、香里のように天才でもなく、らぎ姉のように才色兼備でもなく、麗のように気高くなく、きららのように柔軟でもない。
ならば、誰しもが少しは持っている部分を刺激してやろうと考えた。
このまま山形市民を見捨てれば、必ず後悔する。
世界中で保菌者騒動に泣いている人たちは過去の自分たちで、今の自分たちは彼らを助けられる経験があると、奮い立てるように小さな勇気に訴えた。

すると最初に山田が拍手を送り、それにつられて他の隊員たちも勇気を出せた。
紗月は山田のフォローもあり、見事な演説と行動を起こした勇気により、偽りの信頼を勝ち取った。
ただ山田は紗月が隊長代行などと信じた訳ではなく、彼女が世界を救うキーパーソンになるかも知れないと思えたから応援に回ったのだった。
それでも関はまだ受け入れ難く、つんけんとした態度を止められない。
最初の質問が山形の広さときたら、余計に相容れない奴だと感じさせられるのだった。

感想
インフェクション186話187話188話でした。
状況は第1話に戻った感じで改めて思うのは、絵がだんだんスッキリし過ぎて初期の方が緊迫感とか感じられたなと。
さて、ここでなぜ山形の広さが気になるのか。
https://www.kuroneko0920.com/archives/72883











































