9話
優が踏み込んでみると、羽交い絞めにされた綺麗なお姉さんがスカートを捲られていて、その前に涙目の光が突っ立っていた。
優は戸惑い迷い汗を流し、何が起きているのか理解しようと努めるが、何が起きているのかよく分からない。
だから優は改めて、自分と光の関係性を振り返った。
幼少期からなんでもそつなくどころか高レベルでこなせてきた優は、抜き打ちテストだろうがすんなり満点を取る才色兼備な子供だった。

自分が優秀で良いことをすれば両親も喜んで褒めてくれるが、生来から良い人でありたいと思っている優は褒美を目的にすることもなく、自然と優秀ないい子でいられた。
そんなある日、近所の犬田光が2位という好成績でも母親にしこたま叱られて咽び泣いている場面を目撃すると、ちょっとした陰のヒーローのつもりで彼が1位を取れるように八百長をしてあげたことがあった。
すると2位なだけあって光は目論見通りに1位になり、今度は母親に褒められてご満悦にしている場面を見ることができた。
自分の思い通りの結果に優も嬉しくなり、ちょっとした優越感と今後は自力で1位を取れるように一緒に勉強しないかと誘ってみた。
するとこの頃からいけ好かない人格の光は全て自分の力だと思い込んで調子に乗ったのだが、逆に優は自分の手の平からはみ出しやがる糞漏らし眼鏡に思わず惹かれてしまうのだった。

優は大きな独占欲を光に抱いていた。
明らかにヤバいことが行われているのを察した優は平素のテンションで喋り出し、光がトイレを探している最中だということにして、締りが悪いウンコマンはこれだから困ると小バカにしつつ彼に近づき、ボスらしい男に頭を下げさせ、お暇する空気を作り出しつつ、斯波たちの存在も確認した。

そのまま部屋から難なく抜け出し、脱出成功。
二人が消えたところでオーナーは怒号を放ち、レイ〇未遂犯罪者たちは慌てて動き出し、期せずしてカンナはまわされずに済んだのだった。
そして斯波も友達の逃避行を助けるべく、うその証言で手助けした。
素早くタクシーに乗り込んでトンズラした優たちは、無事に家まで帰ることができた。
優は斯波にハメられたのだろうと思うが、光はそうではないと説明しようとするも、カンナの脅しが頭をよぎり、また調子に乗った。
光にとって成績1位というのは譲れないアイデンティティだった。

また勘違いのプライドを誇示されてゾクゾクした優は、夜と非日常のテンションも相まってもう辛抱堪らなくなった。
助けてくれた相手を蔑んでそそくさと家に入ろうとする光の手を掴むと、尤もらしくママに怒られたくないなら、うちの部屋来いよと誘ってみるのだった。



































