フライングニーキックと拷問兵
アメリカのトップから女王に対する振舞いを仕入れていた真鍋首相なりの、最低で最高の殊勝な平伏の意思を表す姿だった。
土下座の頭を踏みつけたセレナはさっそく姫乃の居場所を訊くと、真鍋は淡々とその場所を白状するが、時既に遅い可能性も示した。

しかしセレナは慌てずに真鍋にも同行を指示し、おそらく姫乃は無事だと言い返した。
セレナの予想通り、黒田は引き金を引いてもなぜか姫乃に当てられず、確実に照準を合わせると今度は引き金を引けなくなる意味の分からない状態に陥り、自然と涙を流した。
殺意は確かにあるはずなのに、何故か殺せないことに咆哮をあげていた。
こうなることを、セレナは既に実践において予想していた。
セレナは姫乃を捕らえたまでは良かったと褒め、しかし自分にまで手を出したのは愚行だったと真鍋を評価しつつ、日本政府に指示した王は誰だと詰め寄った。
真鍋は強いていうなら内閣総理大臣である自分が王だと答えるが、そんなおためごかしをセレナは切り捨て、今向かっている地下牢に幽閉して世にも恐ろしい拷問をするぞと脅しかけた。

臓器移植手術において、ドナーの記憶が臓器を移植されたレシピエントに受け継がれるという事例は確かにあり、脳だけを玄野二穂の身体に移植した黒田は確実に兵士として忠誠するようにプログラムされていったのだった。
今の黒田は玄野二穂でも黒田二郎でもない、新しい人間と呼べる存在だった。

蜂と同化したなどと認めたくない黒田は姫乃の首に手をかけるが、しかし力を込めることができず、愛していないと否定してもやはり殺すことができない。
その時、黒田のペアである男性警官が割って入って銃口を突きつけ、虫けらがと罵って姫乃を黙らせると、あの方の元に届けるべく姫乃を牢屋から出した。
その助太刀に黒田が感謝して続こうとした直後、服部のフライングニーが警官の顔面を歪ませたのだった。

施設のセキュリティを無効化して堂々と入って来たセレナたちに黒田は、あの方の情報管理がそんなに甘いはずがないと驚愕した。
そのあの方とやらが日本政府を従える王だと確信しているセレナはそれを吐かせるため、戦闘兵とはまた違うタイプの兵士を連れて来ていた。
禍々しい仮面をつけたそいつらは拷問専門の兵士であり、男は性転換させている元快楽殺人者で構成されていた。

そして既に誰が王なのか客観的に推理していたセレナは、ほぼ間違いない見当をつけた上でこの場所に赴いていた。
姫乃を捕らえて陥れた首謀者は、園藤姫乃本人だと確信していた。
異様な拷問兵に真鍋が惨たらしく殺されるのは忍びなく、従順なフリをして利用すればいいと諭す瑞。
その言葉をありがたく受け取りながら、しかし蜂の正体を知っているが故に従えない日本政府。
駆除してくれと言わんばかりに喧伝された楽園都市の矛盾を指摘し、王は姫乃自身だと疑うセレナ。
心当たりも自覚もない姫乃に弁明の余地はなく、拷問兵の凶手がかけられる。

その時、全てを闇に葬らんとする大きな揺れが辺り一帯を襲い始める。
そして姫乃はセレナの尤もな指摘を整理し、彼女の言葉で楽園都市を創ることにしたのを思い出した…
感想
ヒメノスピア7巻でした。
面白度☆8 本能度☆8
生物としての本能は凄くもあり恐ろしいものだと思いました。
瑞がまともに見えてくる現象が維持される中、展開は初っ端の胸糞悪さが戻ってきそうな気配で楽しみです。






































