28話
自己中な性格、変態的な性癖、ダサいタトゥー、超絶セレブ。
全て嘘だと言い出した五十嵐は、一気に自信無さげな情けない顔を晒し、ただの一般男性なんだと暴露した。

もちろん五十嵐が嘘を吐いてタマロワに潜り込んだわけではなく、運営の指示に従ってセレブの役を演じたに過ぎない。
30歳を超えて結婚願望が強くなり、マッチングアプリを閲覧するようになってしばらく、タマロワから案内通知が届いた。
かなり怪しげな雰囲気に五十嵐は躊躇ったが、真の愛が確かめられるという誘い文句に乗り、本当のプロフィールを書いて送ったのだ。
結果、運営が用意したセレブプロフィールを名乗ることになっただが、愛してくれることが最優先だと前置きして、平凡なスペックだとバレた後でも結婚生活は問題なくやっていけるという保険をかけたのだ。

一応は理解した優奈は、では真実のプロフィールを訊いた。
五十嵐のプロフィールは名前程度しか合っておらず、現在はフリープログラマーの年収400万という、至って平均的な経済力だった。
3億もの借金をセレブ夫の財力でどうにかするつもりだった優奈は絶望し、すぐ運営にリタイアを申し入れた。

しかしあえて優奈にだけ暴露した五十嵐はその理由と最後まで話を聞けばちゃんとメリットを提示できると引き止めた。
元来お人好しの優奈は、強く来られたら拒めなかった。
闇のゲームに参加してしまい、必ず結婚相手を選ばなければならなくなった五十嵐は、殺人犯が妻になるかもしれない可能性に怯えた結果、今までのことから一番信頼できる優奈と結婚したいといきなりプロポーズした。
すると優奈はトキメクことなく、瞬時に完全拒否した。
人格を認めてもらえて悪い気はしなくても、優奈の目的は最初から借金返済のための100%金目当て。

平々凡々な収入しかない相手と結婚する可能性は0%だと断言すると、五十嵐は自分も嘘吐きだったことから拒否されるのも仕方ないと受け入れ、続いてメリットを提示した。
誰かと結婚が決まれば運営から三千万の祝儀が出るのだと。
取り分まで決めていいと言われても、優奈は借金3億については明かさず、逆に自分と結婚しない方がいいと断った。
そして、殺人犯と結婚したくないなら全てを暴露して全員にリタイアを促し、祝儀を諦めればいいと指摘した。
五十嵐はそれも考えたが、もし殺人犯がリタイアせずに祝儀にプラスして多額の保険金殺人を狙ったなら、逃れるすべが無くなるという。

進退窮まった五十嵐は結婚してくれと優奈に懇願。
五十嵐の言葉が全て真実だと証明されていない状況で再び考えた優奈は、やはり結婚はしないと切り捨てた。
しかしリタイアは取り消した。
瑠華が言うには、菜月がリタイアしたことで残りの犯罪者は三人中二人。
残り一人の潔白の人間を突き止めるから、その子と結婚できるように立ち回れと指示した。

参加し続けてもメリットがないのに、やはりお人好しで見捨てられない優奈の存在は、どこまでタマロワを盛り上げてくれるものだった。
しかしゆっくり二人で話し込んでいたせいで、盗み聞きする気配には気づけなかった。



































