20話後編
騙されたと知った京介は頭に血が上り、島人でも構わず銃口を突きつけ、殺すと息巻いた。
下総はまだヘラヘラしながら、船の操船は誰がするんだと理性に訴えかけると、法嘩も銃を押さえて京介を宥めた。
それで京介は血が出るほど歯を食いしばり、感情任せの行動を何とか我慢した。
とは言え今すぐ出発する気は満々でがなり立てるので、千歳がまだ睦美たちが戻ってきていないと割って入るも、京介は仲宗根やアキもいないのも関係なく、バッテリーならあるやろがいと怒鳴り返す。
しかし今はまだ、暴風雨が荒れ狂う台風上陸中。
出港したら自殺行為だと言われても、引くに引けない脳筋は話の方向を変えようとし始める。

その時、葵が千歳の加勢に回り、ある程度の経緯を知っていることを伝え、島人だの他所もんだのと言い続けて差別する考えを全否定してやった。
そんなド外道なやり方で助けられても空しいだけ。

そう思いの丈をぶちまけると、病み上がりの葵はフラッと倒れかかったところを刻に支えてもらいながら、ただ単に台風が過ぎてから全員で脱出すればいいだろうと諭した。
葵のためを思っての荒ぶりでもあっただろうが、当の本人にボロクソに言われたら脳筋クズも飲み込むしかなく、千歳は半裸のまま葵に感謝するのだった。

翌朝になるとすっかり雨も風も止み、まさに台風一過の日になった。
睦美たちは急いで出発するが、仲宗根は施設を出る前に助けてくれた残りのイルカが自由になれるよう、海と繋がる水路の蓋を外してあげた。
このままプールで侵入してくる魚を食べて生きるもよし、水路から大海原に出るもよしで、イルカも仲宗根の計らいに感謝して見送った。

千歳が無事でいることを祈りながら先を急ぐ睦美たちは、無事に海沿いの道まで下りてきた。
ドックはもう見えるところまで近づいてきたが、岸壁にぶち当たる波はまだまだ荒れて高い。
更に背後からの羽音に気づいた睦美は、反射的に体勢を低くするよう指示した。
直後、地面に伏せた彼女たちの上をヤンマが飛びすさっていきながら、ギザギザの足の先っぽを桃崎のリュックに引っ掛けて攫おうとしたが、布がちぎれたおかげで彼女は九死に一生を得た。
睦美はダッシュでごろごろ転がる桃崎を受け止めたが、タイミング悪く大波に浚われて海に落ちてしまった。
どうにか岸壁のすぐ傍で上がれそうではあったが、上空を仰ぐととても道に戻る気になれず、睦美は息を飲んだ。

この辺りは、ヤンマの狩場になっていたのだった。
感想
大巨蟲列島19話20話でした。
すっかり千歳がお色気要員になってしまった感がありますが、思い出せば最初のジガバチからそうでしたね。
https://www.kuroneko0920.com/archives/78522



































