まさかの出来事は、他の貴族にも少なからず波紋を及ぼした。
カイメイアは花瓶を薙ぎ倒して悪態を吐き、ミウはまた大粒の涙を零し、ボーアは睨むように展開を見つめていた。
そして空が白もうかという頃、アルクは目を覚まし、ズキっと走る痛みに顔をしかめながらも、早くアウレリアに会いたいと思ったが、廊下から漏れ聞こえる騒がしさも気になった。
皇太子が死んだのだから騒がしいのも当然、アルクは何食わぬ顔で部屋を出て、そこにいたセリーヌとジョアンナに何事かと訊いてみた。
そして自分が間接的にアウレリアを殺してしまったことを知ったのだった。

アルクが生きる意味を失ってから数日、大雨が降り出した。
誰が死のうが変わりなく時間だけが過ぎていき、ガールズの心配も空しく、アルクはあれ以来何も口にしていなかった。
誰の慰めも空虚に響くだけのアルク。
雷鳴轟く嵐の中、アウレリアを蘇らせる方法をラティに訊くが、彼を唆した黒エルフは、本当か嘘か蘇生の魔術は存在しないと言い切り、励ましの言葉をかけるが、この事態を招いた原因の一人の励ましなど耳障りなだけだった。

ラティが闇に溶け消えると、やつれ切ったアルクはこの悲しみを終わらせるために、もう一つの薬を飲み下そうとした。
しかし、自分を許すことこそ何より許されないことだと思い直し、薬を投げ捨てた。
楽になれる権利などなく、一生背負うだろう後悔と憎悪はこれからの糧にしなければいけないと考えた。
アウレリアを殺したのは自分と皇太子ならば、皇太子を葬ることを次の生きる目標にしなければならなかった。

アウレリアの死より五日後、四家が集まって話し合いが持たれた。
イスティシア家のアルゲス、アースル家のギドゥ、エンシュウ家のボーア、そしてナーガラ家のアルク。
それぞれの経歴やパーソナリティーを現した異名を持っている四人が勢揃いしたところで、さっそく口火を切ったアルゲスがまた孫娘のカイメイアを皇太子に嫁がせると言い出すものだから、ボーアは笑うしかなかった。

もちろんまだ当人たちには通っていない話で、皇太子には文を送り、カイメイアはこれから説き伏せる段階だった。
すると間接的に愛しい人を殺してしまったアルクは黙っていられず、また孫娘を死なせるつもりかと責め、アウレリアは皇太子が殺したようなものなのにと言い募った。
しかしアルゲスの意思はイスティシアの意思であり、孫の死は両家をより深く繋いでくれたのだと声を荒げ返した。

ここでアルクはアウレリアの死を利用してでも、打倒帝国の意思を明かし、四家を繋げようと考えた。
我が兵力は五千、ガースル家も五千、エンシュウ家も五千、イスティシアの二万を合わせて三万五千の兵を合わせて策を弄せば、帝国とも渡り合えると提案した。
今こそ我らで手を組み、帝国を倒す時だと宣言した。




































