しかしボーアは冷静に、ナーガラには五千もいないだろうと嘘を指摘するが、アルゲスはあえて兵力が三万五千になるとしても、帝国は少なくてもアルクの見積もりより倍の二十万はいると教えてやった。
それはあくまで帝国本国のみで、次々と支配下に置いている今、かき集めれば三十万に届くだろうと見積もった。
その試算には他の二家もそうだろうと頷くが、アルクは引き下がらず、恩を売りマハトで籠絡したキャシアがいるゴーチェ、勇猛な騎馬軍団がいるランシア、法王庁の神聖騎士団、自由都市同盟の傭兵団。
それらとも手を組み、四方から攻めれば十分にイケるとプレゼンし直した。

その甘い見積もりの粗を、アルゲスはまたしても突いた。
神聖騎士団は異教徒との戦いで出払っているし、帝国がそれに協力している以上、法王庁が帝国と事を構える可能性はないという。
ならばアルクは、帝国がどんどん勢力を拡大しているのだから、自分たちもいつ取り込まれるか分からないと言い募るが、アルゲスにしてみればそれを回避するためのカイメイアとの婚姻だった。
そこまで反論されたらアルクはもう感情に訴えるしかなく、アウレリアが使い捨てのように殺されて悔しくないのかと責め立てた。
当然、孫が死んで悲しくないはずがないアルゲスはただ、むしろ皇太子を亡き者にせんと呪術をかけた者が誰なのかを考えていた。
その疑いの眼差しを向けられたアルクはドキッとしながらも、燃え続ける殺意で何食わぬ台詞を返して見せた。

するとアルゲスは、アルクを祖父のノヴァルスに似ていると言い出した。
ボーア曰く、アルゲスとノヴァルスはライバル関係で、イスティシアとナーガラが不穏な関係であった頃、アルゲスは姪の一人を嫁がせ、そして生まれたのがアルクだと懐かしそうに振り返った。
そんな風に言われては毒気を抜かれたアルクは、かつてあった古代王国ファフニールの血を同じく受け継ぐ者同士として、我らは手を取って帝国を倒すべきだと説いた。

その考えは、確かにアルゲスも理解できるものだったが、タイミングは今ではないと言い返した。
冷静に振舞っていても、孫娘が死んだばかりの老体は見た目以上に参っているようだった。
結論を後回しにしてアルゲスとギドゥが消えると、ボーアは堂々と意見を突きつけたアルクを見直して抱きつき、いやらしいスプリットタンをちょろりと見せつけた。
ボーアの考えとしては戦にそこまで否定的ではないようで、穏健派の老体二人とは違う様子。
そこでアルクはまたしれっとナーガラ産のワインを振舞い、グラスを合わせたが、もちろんそれは血を混入させたマハトワインだった。

一方、アウレリアの亡骸を帝国に持ち帰った皇太子は、それが彼なりの弔いなのか、蘇らせれる時のためか、アウレリアを魔法氷の中に封じ込めたのだった。
皮肉にも何の咎もないアウレリアが、大陸全土を巻き込む戦乱の火種となるのであった。

感想
終末のハーレムファンタジア31話でした。
アウレリアが不憫すぎて、実は皇太子なら蘇生魔法を使えるとかいうオチにして欲しいくらいです。
https://www.kuroneko0920.com/archives/77745



































