217話
車と銃を取り込んだ強大な変異体になってしまった碇は、エリックの甘言にテンションを上げ、笑いながら銃弾をかつての仲間に降らせ始めた。
隊員たちは何とか車の陰に隠れて身を守るが、離れてハートレスの相手をしていた火炎放射隊員の一人は背後の状況を把握する前にボンベに銃弾を当てられ、大爆発直撃という悲惨な最期を遂げてしまう。

そのあまりに惨い最期に、隊員たちは更に恐怖を煽られるし、こんな時に指揮してくれる碇自身が敵になってしまったことで、より絶望感に襲われていく。
その時、山田の放った矢が碇マンの片腕を吹き飛ばした。
走る車に立ちながら器用に矢を射り、圧倒的な攻撃力を披露する山田。

碇マンの前と後ろで隊員たちと分断されたのなら前後で挟撃を仕掛けたいが、碇マンはその体質上、攻撃時に力んだところしかダメージを与えられないほど柔らかく、うまく隊員たちと連携して矢で吹っ飛ばしたい。
そこで紗月が準備良く持っていた拡声器で指示を出せばいい話なのだが、紗月はすぐにそうせず、エリックの様子を窺って考えを巡らせ始めた。

その間にも碇マンは隊員たちに銃弾の雨を降らせて追い込んでいくが、隣で仲間が粉砕するのを見た一人が勇敢に撃ち返すと、碇マンの先っぽはボボボボと崩れていき、銃も一緒に落ちた。
それで間違いなく銃でもダメージを与えて奪われた銃を落とせると分かった男は、よし攻めようと鼓舞するが、周りは指示もないのにと自主性を一切出そうとしない。
だから男は、何でもかんでも指示待ちの姿勢を変えるため、この戦いの人類の命運が懸かっていることを改めて叫んだ。
とにかくやり遂げるしかないこの作戦は、ビビッて指示待ちになっているになっている状況ではないと鼓舞した。

その想いに胸打たれた隊員たちは、俺も俺もと碇マンに反撃を繰り出し、火炎放射も加わっていく。
真っ黒の顔面だけ銃弾を弾くほど硬いが、それなら火炎攻撃だと自分たちで考えて連携を深めていく。
そこに戦車も加われば、碇マンは一気に押され始めて体積が小さくなっていく。

しかしエリックは、彼らがしっかり考えて自分たちで道を切り開こうとしているのを嬉しそうに眺めているのみ。
それは実験が始まったばかりで、碇マンは初っ端の一体目に過ぎなかったからだ。
碇マンもどこかへ移動しようとするが、それを逃さず山田が片足を吹き飛ばして動きを封じようとする。
それで紗月たちは碇マンをすり抜けて隊員側に合流できたので、指示を出したのだが、彼女の言葉は誰も想像していないものだった。
紗月はエリックの思惑を看破し、ここは速やかな撤退を指示したのだった。




































