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235話

身体を酷使し過ぎているせいで脳への半端ない負担を感じた神城は、轟と初めて出会った頃の記憶が蘇り、縁起でもない走馬灯により頭痛が増す気がした。

 

 

消防隊長の指示で名のある武道家の教えを請いに行った当時の神城は、しかし消防士の訓練に加えて格闘技も嗜んでいる自分に相当な自信を持っていた。

 

そんな若者がまだまだ未熟者だと一目で見抜いた轟は、失礼な態度がダサかったことを身を以て思い知らせた。

インフェクション
著者名:及川徹 引用元:マガジンポケット

 

 

化物になった轟に殴られれば、同じように殴り返して仮面のような皮膚を砕き割る。

 

 

あまりに強い轟に、その力をなぜ人助けに使わないのか訊ねると、そもそも強くなった目的が人助けではないからだとそのままに返された。

 

それが単なる道楽だと今でも思っている神城は、門下生に稽古をつけた後、一人で鍛錬している轟をただ観察したことがあった。

インフェクション
著者名:及川徹 引用元:マガジンポケット

 

 

誰にも邪魔を許さない一人きりの道場で、じっくり武を極めるためだけの自己鍛錬。

 

そんなのは無視して偉そうに壁にもたれながら黙っていた神城に気づきながらも黙って汗をかき終わった轟は、訊きたいことがあるのだろうと見抜いた。

 

その鋭さにも驚かされた神城は、出会った中で一番強いのに山奥の道場で鍛錬しているだけなんて才能の無駄遣いだと思わないのか、遠慮なくストレートにぶつけた。

 

すると轟は幸せだと屈託ない笑顔で言い返した。

インフェクション
著者名:及川徹 引用元:マガジンポケット

 

 

そして他人が幸せかどうかじゃなく、自分の能力を人助けに費やしていいのか悩んでいることを打ち明けたいのだろうと、次々若者の考えを見抜いていった。

 

もちろん若い時も強かった轟も周りから、才能の使い道をあれこれアドバイスされまくった経験があったから、神城の迷いが良く理解できた。

インフェクション
著者名:及川徹 引用元:マガジンポケット

 

 

それらのアドバイスに流されて悪人の過去もあった轟は結局、強くなることだけを求めるのが一番幸せだと悟り、無駄にした若い時間を取り戻すように自己鍛錬に励んだ。

 

 

他人の意見など聞き流し、自分が何に幸せを感じるのか見極めてそれに才能を使えばいい。

 

そんな大先輩のアドバイスに納得した神城はだから、今は人類のために人を越えたパワーで轟をぶっ倒そうとしていた。

インフェクション
著者名:及川徹 引用元:マガジンポケット

 

 

轟を倒すには脳が壊れて自分でなくなっても構わない覚悟がいる。

 

脳へのダメージを心配する余裕はなく、全力で拳を叩き込むしかないのも、轟が幸せな時間を過ごして強さを求め続けたから。

 

それでも人は孤独になり切れないものだと轟が語れるのも、神城のような超人に出会うことがあるから、それも幸せだと感じていた。

インフェクション
著者名:及川徹 引用元:マガジンポケット

 

 

その時も屈託ない笑顔を見せた轟を思い出しながら拳を振り抜いた神城は、化物になった師匠の首をやっと取ることができたのだった。

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