195話
煙が充満する中、メデューサ達は出口を目指して階段を駆け上がり、毒乳たちとやり合った場所まで戻った。
千歌はすぐ斯波の遺体が無くなっていることに気づいたが、確かに死んだはずだし、誰かが運んだにしてもでは誰が?の疑問に答えを導けない。
とにかくまずは九龍城を抜け出すことが先決と再び走り始めた頃、消えた斯波は実は生きていて、レイカたちの懸命な応急処置で何とか一命を取り留めようとしていた。
どうやら心臓は無傷だったようで、可愛い後輩との再会を感動の涙で喜んでいた。

その時、医者を探しに行ったハルより先に道隆が合流した。
道隆は彼女らに状況を説明するよりも、千歌を救えなかったショックが色濃く残っていた。
脱出する際、たとえ原因が五菱による洗脳でも数え切れないほど殺した殺人鬼だからと罪を受け入れ、もう自分のことは諦めて欲しいと、訣別を宣言されたのだった。

しぐまの止めはさせずに千歌に罪を上塗りさせてしまったが、しかし自分まで人殺しになってはいけないという自制心でもあったと顧みる道隆は、もちろんハードシスコンとして妹を諦めるつもりはなかった。
そして千歌も決別を突きつけたとしても、やはり未練がないわけではなかった。
火の手が遥か遠くなった建物内の廊下を進んでいる時、女医からの電話が繋がったので、教祖を仕留めて現在脱出中であり、二人が捕まり隊長が重傷だと報告し終わると、追いかけてきた聡がカレンを忘れるなと呼び止めた。
もちろんそのつもりの千歌は隊長を運ぶ若本を先に行かせ、怪力のカレンがもし法悦で抵抗する場合に備え、メデューサ全員で迎えに行くことにした。
カレンとあや、二人を助け出すには教祖死亡と火事の混乱に乗じた今が最善で、逃げようにも毒薬で命を握られているし、捨て置けない龍野も始末する必要があると言われれば、女医も納得するしかなかった。

カレンが寝ている部屋に着くと、本人は穏やかにスヤスヤ眠っている最中だったが、直後、部屋に入ってきたのは戦闘力ツートップに君臨するだろう二人と、ダーキニーを生み出す元凶の龍野だった。
一方、無事に女医の元まで運ばれた隊長は治療を受け、後は自分の回復力次第というところに持っていってもらえた。
そして女医が千歌たちの遅さにやきもきし始めたその時、ヤモリカメラが病室の凄惨な光景を映し出したのだった。

カメラ目線で女医を煽り倒している龍野と、血まみれのメデューサたちを見下ろしながら凶器を手にしている千歌。
一体何があったのか、龍野の洗脳を上塗りされてしまった千歌は仲間たちを手にかけてしまっていた。
龍野を脅して演技をさせ、メデューサたちは死んだフリをしているという可能性もあり得るが、倒れている者たちの瞳孔が開いているのを女医は見逃さなかった。
それで千歌が敵の手に落ちたと判断した女医は、非情にも千歌に仕込んだ毒を作動させたのだった。















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