253話
奇跡的に電話を繋いだのは研究者チームのリーダーであるミスタービッグだった。
香里は電話が繋がった理由を話そうとするが、長い時間が残されてないのが分かっているビッグは遮り、最後の仕事となるプレゼントの説明を優先した。
肩の血が気になるが怪我ではなく変異体になりかけた仲間を葬った際の飛び血で問題なく、情報エネルギー世界が開放されて彼らもその恩恵に与れたのだった。
仲間がどんどんいなくなっていく中、科学者としてやるべきことをやり続けた彼らはついにビッグ一人になってしまったが、大きな成果に辿り着いた。

仲間の遺志と共にサーバールームに逃げ込み、晴輝たちに電話をかけ続け、香里ちゃん像のコントロールでやっと繋がった今、ビッグが伝えたいのは情報エネルギーと電気通信の融合だという。
全世界監視時代の名の通り、宇宙衛星からその辺の監視カメラまで世界中の映像を観れるようにしたシステムで、これでエリックの動向を筒抜けに見ることができる。
ありがたいプレゼントに香里が笑顔と感謝を返すと、ビッグは電話がかかってきたふりで画面からはけて通信を終えようとした。
変異体になってサーバーを壊さないようにする見上げた科学者魂に感動を禁じ得ない香里は、アメリカ人らしい小粋なジョークを飲み込み、だから人生を再開できる風に匂わせ、希望を抱かせてから送り出した。

繋がるかも分からない電話をかけ続けたビッグに敬意を払った香里はさっそく世界中のカメラシステムで素早くエリックを発見。
その時、エリックは黒い霧状に飛び散った。

凄まじいスピードで放射状に広がっていく霧はあっという間に街を飲み込み、衛星映像に切り替えると既に県の大きさに広がっていた。
香里像のバリアで黒霧の侵入を防げはしたが、一分もせずに日本が覆われてしまった。
黒霧に飲み込まれた人々を見てみると、まさにゾンビウイルスに感染されたように苦しんでいる。

不可思議な動きもしていることから幻覚を見せられているようだが、それも進化情報が強化されるように厳しく辛いものを見せられていると思われる。
そして変異体になりかけたところでエリックは吸収し、全人類の知能を結集して渚の超科学を使いこなそうとしていた。
黒霧が世界中を覆ってしまうのは時間の問題、香里たちはエリックと全人類が合わさった相手と戦わなければならなくなった。

そこまでのことを容易く理解して説明したのが螢なのに疑問を持った紗月は、なぜエリックの目論見を言い切れるのかと訊ねた。
その答えもおおよそ見当がついている紗月は自分と同じように、新たな能力に目覚めたのではと指摘した。



































