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スポブラでおかえり

一審二審共になかったことになって、完全に一からやり直すことになった真珠はここまで目論見通りなのか。

 

ともあれ犯行時に18歳未満ならば少年法の規定により死刑にできず、実名報道もされず、法廷で堂々と名乗った夏目真珠と名前が記事に使われることもなくなった。

夏目アラタの結婚
著者名:乃木坂太郎 引用元:夏目アラタの結婚8巻

 

 

 

上告放棄書を託されたアラタに細かく指示されたのは、裁判所が閉まる午後5時ギリギリに提出するというものだった。

 

法に触れない行為と明かされても、まさかの作戦に度肝を抜かれたアラタは判断しかねた。

 

 

本当にギリギリまで待ったアラタは気になって仕方ない裁判長が書類が提出されたか確かめに現れたところで素早く提出し、肩の力が抜けたようなドッと疲れたような様子の裁判長に対し、率直に訊ねた。

 

現時点で真珠を拘束している法的根拠は何ですか?と。

 

法律のプロである裁判官を以てしても、小賢しい拘束力のない理由で時間を伸ばすくらいしか思い浮かばず、真珠を拘束できる法的根拠はないと正直に答えるしかなかった。

夏目アラタの結婚
著者名:乃木坂太郎 引用元:夏目アラタの結婚8巻

 

 

 

上告放棄書が提出されて釈放される身となった真珠は手錠と縄を外されたが、私物を受け取りに拘置所まで護送車に乗ってくれと促されるが、向こうで再逮捕されるだけと分かっている真珠は断固拒否。

 

すると職員たちは自ら壁になって取り囲み、触らずに触らせて公務執行妨害でしょっ引こうと団結。

 

法の空白を掻い潜ろうとするなら汚い実力行使で自由に歩行する権利さえ奪う公僕に激昂する真珠だが、そこに裁判長が顔を出し、アラタは帰ったと伝えて希望がないことを突きつけた。

 

しかし真珠は諦めず、育たなかった胸を露わにしてでも小賢しい壁を突破した。

夏目アラタの結婚
著者名:乃木坂太郎 引用元:夏目アラタの結婚8巻

 

 

そして外の光を浴びてもアラタがおらずに諦めかけた真珠だが、警備員の向こう、重低音を響かせるバイクに跨ったアラタが駆けつけてくれると、一転、鉄の塊に乗った旦那の背中の温かさを抱きながら束の間の逃避行へとしゃれ込んだのだった。

 

一度は裁判長が言うように本当に帰りかけたアラタだったが、真珠の真意を自分なりに想像を巡らせた結果、こうして犯人隠避に当たらない親族として迎えに来た。

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著者名:乃木坂太郎 引用元:夏目アラタの結婚8巻

 

 

またすぐに再逮捕されるだろう真珠はどうして、法の空白を衝いて外の世界に戻りたかったのか。

 

生きる希望を実感するためか、ただただ期待した待ち人が来る温かさを知って思い残すことを無くすためか。

 

 

 

まず連れて行ったのは遺族に教えてもらった近場の砂浜。

 

そこで思い知る、殺人鬼に触れられる恐怖、目の前にいながら目を瞑る恐怖、お互いに知る不快感がない体臭の嗅ぎ合い。

 

そうして夕日に黄昏た後、タンデムで背後を取られている以上、いつ道連れにされてもおかしくない状況だとアラタは思い知らされた。

夏目アラタの結婚
著者名:乃木坂太郎 引用元:夏目アラタの結婚8巻

 

 

真珠がきっかけで知り合って友人にもなれた男が匿ってくれることになり、一先ずお世話になることにした。

 

 

傍聴仲間で今は独身の、如何にも冴えない中年男。

 

一度は夫婦という男女で過ごす経験をした彼だからこそ、真珠がアラタに向ける殺意に気づけたのかも知れないが、それはフェイクの殺気で逃避行の真の狙いは子作りの可能性が高かった…

夏目アラタの結婚
著者名:乃木坂太郎 引用元:夏目アラタの結婚8巻

 

 

感想

夏目アラタの結婚8巻でした。
面白度☆9 知性と知恵度☆9

なぜそんなに法律に詳しいのか、今更ながらに驚きの連続ですし、まさか塀の外に本当に飛び出すとは面白い展開の連続でずっと面白いです。

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