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257話

懐かしい倉庫に誘われた晴輝は、きららがマットに腰を下ろすと当時の光景を思い出し、先輩だと嘘を吐いて男子と二人きりの状況で少しでも安全を確保しようとしたことをからかうように振り返った。

インフェクション
著者名:及川徹 引用元:マガジンポケット

 

 

そういう咄嗟の柔軟な判断に保菌者騒動で助けられたことを感謝し、改めてここでの出会いにも感謝した。

 

しかしきららは思い出に浸るよりも、彼が一人で最後の決戦に向かうことをまだ納得しきれていなかった。

 

頭では最も可能性がある作戦だと分かっていても、生きて戻ってこれる保障もない以上、とても心穏やかに送り出すことなど無理そうだから、きららは訊ねられるまま本心を打ち明けることにした。

 

しょせんは高校生の恋愛、本当に好きで身体を重ねてもいずれは別れる相手で、家族の姉とは比べようもないと最初は思っていたが、物理的に離れている間に想いが募り、いなくなった場合の恐怖が膨れ上がり、愛へと変わっていったのだ。

インフェクション
著者名:及川徹 引用元:マガジンポケット

 

 

涙ながらの思いの丈をぶつけられた彼は穏やかに、気持ちはずっと同じだったと答えた。

 

同じとは今のきららと同じ、とても大切で無事でいて欲しい、だから守り切れないかも知れない恐怖に襲われ、倉庫に閉じ込められる以前の日常に戻りたいと願っていた。

 

ただ日常と保菌者騒動が起きてからの非日常でも、大切な人を失うかも知れない可能性はどこにでも存在していて変わらないことを、母の人生を見て思い知ったのだ。

 

渚に大切なものが増えていき、最期に命を持って子供たちに未来を託したのと同じように、彼も香里や紗月のためなら命を懸ける覚悟を持ち続けていたし、今はその対象が増えただけのこと。

 

それほどの人たちがいるのは幸せと同時に失う恐怖も混在している、その気持ちはきららの愛そのもの。

インフェクション
著者名:及川徹 引用元:マガジンポケット

 

 

保菌者騒動が終わってもそういう意味での非日常は続くと思っている彼は、死地を潜り抜けるハードさより大切な人が幸せでい続ける方が難しいと見越していた。

 

相手を想うほどに失う恐怖は常に付きまとう。

 

その気持ちを共有していることを丁寧に説明した彼からも、いい笑顔で愛を言葉にしたのだった。

インフェクション
著者名:及川徹 引用元:マガジンポケット

 

 

それはもう単純に嬉しいきららはぴょこんと立ち上がり、エリックを倒して爺さん婆さんになっても傍にいる未来を思わせながら、二人共通の大事な人に昔話をできるように増やしてあげると言い出した。

 

すると無言でギュッと抱きついた。

インフェクション
著者名:及川徹 引用元:マガジンポケット

 

 

すぐに彼も意味を察してきららは悪戯に笑い、戻ってきたらお互いに好きでいる限りはいつでもできると未来への楽しみを抱かせ、出会いの場でキスをした。

 

と同時に二人を探していた人たちに扉を開けられ、甘酸っぱい青春の1ページを目撃されてしまうのだった。

 

 

感想

インフェクション255話256話257話でした。

久しぶりのキャラが多い中、まだ純粋なエログロゾンビ漫画だと信じていた頃の初期も初期キャラの復活はノスタルジックですね。

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