ロ〇コン共の餌食
二人きりで会わなくなってしばらく、季節も変わったたある日、夕子を巡った不良共の動物じみた抗争が終わり、彼女は久しぶりに野添の家を訪ね、雨竜に告白されたことを打ち明けた。
不安、劣等感、疎外感、不信感、素直になれない幼稚な不器用さ。

中学生同士の真剣な誓いはここに壊れてしまうが、すぐに後悔した彼は夜になって飛び出し、まずは実家に行ってからいないことを飲んだくれの親父から確かめ、スナックに向かった。
そして店が閉まった後、夕子が見知らぬおっさんを相手に身体を売っていることを知り、なのに彼女が屈託ない笑顔を見せることが恐ろしく、また夜闇に逃げてしまう。

あまりのショックに寝込み、数日は仮病で学校もサボっていたある日、篠岡が訪ねて来てくれ、夕子がいつもと変わらないと分かると、ようやく学校に行く勇気が出た。
そして雨の帰り道、親の借金で身体を売らされているというおぞましい真相を聞かされた彼は、警察を頼るという尤もな正義感をぶつけるが、あまりに女らしい女の不憫すぎる少女が欲しいのはアドバイスではなかった。
すると彼も、結局は町一番の美少女とお互いに初体験したかったという、少年らしい下卑た欲望を隠せなくなり、被害者なだけの彼女を悪者にしてしまう。

親の命まで握られているという少女はウリを辞められないというので、彼はきっぱり恋も欲望も諦めるしかなかった。
そしてまた引きこもってしばらく、雨竜の子分の玄が身勝手な理由で殴りこんできて、野添は理不尽な暴力にさらされるが、それを警察に通報するという頭は家族にも彼自身にもなかった。
ともあれぶん殴られたことは、ウジウジしていた気持ちを吹っ切るきっかけにもなったのだが、また学校に行くようになると今度は雨竜が絡んできた。
意味のない暴力をふるうタイプではない話の出来る不良だから、今はもう夕子の底知れ無さを知っている者として、野添は夏祭りの夜に言われた言葉をそのまま返して訊ねたのだった。

野添の家も形は違えど疲弊していき、祖父が倒れたことで祖母への負担が跳ね上がり、まだガキの彼も少なからず金の大切さを知った。
変わらないのは篠岡の優しさだけで、季節が冬になれば父親が単身赴任している彼女の家に招かれ、囁かで楽しいイヴを過ごすことができた。
ただ彼女の家も父親の不貞と見て見ぬふりをする母親という歪の上に成り立っていて、だからこそ彼女は東京からの転校生という希少性に惹かれたのかも知れない。

篠岡を好きにならない理由はなく、その通りに彼女を好きだった彼は、夕子に対する程の激情を感じられないと自覚していても、優しく趣味の合う相手との幸せを選ぼうとした。
その時、商店街の方で火事が起こった。
二人の恋が始まろうとするのを邪魔するかのように燃え盛っているのは、夕子が股を開いていたスナックの二階だった。
果たして一人の人死にを出した火災の原因は何だったのか、現場にいた夕子と雨竜は何をしていたのか、とにかく破滅の道はまだ半ばだった…

感想
少年のアビス10巻でした。
面白度☆8 毒度☆10
子供にウリをやらせて飲んだくれる父親と斡旋する母親、文句無しで最高レベルの毒ですね。
































