265話
空中でエリックを一突きした晴輝は、説明するように自分の攻撃は進化情報を無効にする特効薬だといった。
その通り、エリックの黒い部分はぽこぽこ沸騰するように膨れあがり、パンと弾け飛んだ。

それは地球全体を覆っている黒霧にも広がっていき、香里たちがいる学校のバリアの周りも弾け飛び、明るい空が顔を出した。
黒霧が消えたことで晴輝の勝利を察したみんなは喜び、高木も朝日を見て明日が来たことを実感し、そして絶望した。

大勝利の余韻も特にない晴輝は、四肢を切断されて達磨で転がっているエリックの正しさも受け入れたが、しかし敵だったと淡々と伝えた。
そして渚の最期の打ち明け話の時、密かに一緒に聞いていたのなら、あの問いになんて答えたかと訊ねた。
死は奪ってもいいのかどうか。
その問いにエリックは高笑いし、ごろりと仰向けになると気持ち良さそうに負けを認めるも、開き直りじゃない朗らかな表情で明るい空を見上げた。

そして最後まで言い切らぬまま、息を引き取った。
静かに見送った晴輝は今から帰ると香里に伝え、高木にも声をかけて行こうとした。
するとまだ生きていたチョロ助がエリックの名を連呼しながらのそのそ近寄り、親友の死を嘆いて膝をついた。
激しい慟哭、悲痛な叫び。
それを少し眺めた二人は黙って背を向けて行こうとするも、今度はエリックの骨を砕く嫌な音にまた振り返り、形振り構わない最後の悪あがきに驚いた。

これはまさに悟飯にボコボコにされたセルが自暴自棄になった自爆攻撃。
膨れ上がったチョロ助は死なば諸共の考えで道連れの道を選んだのだが、香里によれば晴輝の無効化も通用しない特殊な死のエネルギーが撒き散らされるという。
ともかくできるのは爆発に巻き込まれる前に学校のバリア内に逃げ込み、バリアが防いでくれるのを期待することだけ。
すると高木が嬉しさと恐怖を合わせたような歪な表情で、自分がまた融合して確実に爆発を止めると自己犠牲を選んだ。
しかし晴輝は怒って止め、そして親友の苦しみになかなか気づけなかったことを謝った。

死にたがっている高木がここを死に場所と選んだのだとしても、今はひたすらに謝って止めるしかなく、自殺はさせないし一緒に明日に連れて行くと言い切った。
それもまた高木にとって迷惑で残酷でしかなく、弱々しく死なせてくれと返した。



































