207話
自我と誇りを取り戻したナクタはもう手遅れだとリーメアリーに忠告し、気をつけろと気遣ってサラサラと天に召されていった。

仁科の指示を思い出した彼は、リーメアリーを殺せといった意味を身を以て理解し、空っぽになった鎧を空しく見つめた。
上司を見送ったリーメアリーが、もう一緒に行動できないから二人は宿に戻れと言うので、彼はモンスター化からの殺し合いならと言いかけるも、ただ我慢できない程に臭いから綺麗にして来いという懇願だった。

と言うことで宿に戻って水浴びして着替えて薬を塗ってもらったら、足の骨折も顎割れもベホマみたいに完全回復。
エルフの塗り薬というチート回復役のおかげだが、小皿に盛れるくらいの量でも人間数百人の犠牲でダークエルフが譲ってくれるらしく、割に合わなさすぎる罪な薬だった。

ただ身体は治っても、二人から漂う異臭はまだまだ残っているようで、本人の鼻は麻痺していて他人に嗅いでもらうしかない異常事態。
そこで彼は仁科から呪いについて聞いていたことを明かすと、リーメアリーは仁科なら暗殺くらい指示するだろうと察するので話は早い。
つまり国母がリーメアリーの裏切りに気づいた時点でアウトだから、ここからは二人で行くと彼がいうと、彼女は素直に受け入れた。
もちろんいつも通りに、自分がモンスター化したら瞬殺してしまうとマウント取りを忘れず、ただ代わりに城付きガーディアンの3人に協力させるという。

相変わらず偉そうで口は悪いが、人殺しはもちろんできるだけ被害を拡大させたくないリーメアリーの根底には優しさと態度相応の強さがあるので、彼は正直な気持ちを伝えてまた不意に心を揺らすのだった。
そんなしんみりも束の間、やはり気になるのはどれだけ臭いのか。
宿娘たちが洗い終わった服を持って来てくれたのでルーミは訊ねてみて、冗談にできない臭さなのを思い知らされるのだった。
そして予定時刻に城に赴くと、作戦通りに協力してくれたトリオガーディアンが道案内してくれたのだが、交尾しても彼女らにデレている様子はなく、本当に嫌々仕方なく協力しているのをアピールしてくるので、彼の心もクサクサせずにはいられなかった。































