因果応報の蟲と刃
枯井戸の上に吊るし上げられてもまだ命の危機がないと思えている内はさっそく罵詈雑言を吐き散らすビッチだが、短く簡潔に凄んで状況をしっかり把握させてやれば、所詮は粋がっているだけのクソガキ。
井戸の底は気持ち悪い蟲だらけ。
落ちてもそうそう死ぬ高さではないにしても、泣けど叫べど助けなんて望めない場所だと分かれば、ドグサレ女も漏らしてしまう辺り、やり返される覚悟なんて端から持っていなかった。

そこで真里は手始めに、DQN共、その中心のバット使いがチョロ甘で程度が低かったことを教えてやり、類は友を呼ぶという素晴らしく的を射た言葉を授けてやった。
それでガキビッチがまた頭に血を登らせると、小和瀬がどうして消えたのかも仄めかしてここで本当に人生が終わるかも知れないことを突きつけた。
桐崇を冤罪でハメ、追い込み、孤独を味合わせた罪。

心から想ってくれるやつ等いないことを知らしめてやった今、ここでは誰か一人に連絡する権利を与えてやることにした。
しかし助けを求めるなどは許さず、カッターの刃の中に混ざったSIMカードを吊るされたまま見つけなければならない。
つまり口元がズタズタになるのを我慢して、蝋燭の火がロープに燃え移って焼き切れるまでに咥えて見つけ出す必要がある。
憤怒してキレ散らかしたいが背に腹は代えられないクズが刃の群れに顔を突っ込むも、一切れで泣き言を漏らす情けなさ。

そこで因果応報だと突き刺されたクズはようやく、かつて自分も同じようなことを桐崇にやらせたことを思い出した。
そして淡々と恐ろしい目に遭わせてくる目の前の女の薄暗い目を見て、復讐だと察することができた。

しかしそれでも小和瀬と同じく、反省や謝罪の念は一切浮かばず、自分がやられれば岡谷に害が及ぶという心配のみ。
そんな薄汚い恋心なら身体を張れる真性のクソビッチは顔がズタズタになる覚悟を決め、刃の中に顔を突っ込んで桐崇と同じ痛みを味わった。
鬼の如く実行できるが心の全てで鬼になり切れない真里の動揺を見抜けるほどなのに、気に入らない奴なら間接的殺人でも気にしない歪さ。

気合と我慢でSIMカードを見つけたクズは、考えた末にやはり岡谷が最適だと思うが、改めて振り返り、岡谷に友人としても女子としてもまともに相手されていないことを自覚した。
それでも賢い岡谷なら色々察してくれるだろとも思ったが、好意どころか興味さえ持たれていないことをはっきり知るのが怖くて、チョロバット使いをいつもの調子で呼び出すことにした。

しかしバット使いは真里が篭絡しており、式見と断絶させる策を打っておいた。
それは式見が最終的に利害関係で繋がってる相手しか頼らないし頼れないことを見越していたから。
最後に煽られたクズは悔し紛れの呪詛の言葉を吐き散らして真里の罪悪感を少しでも軽くしてから、奈落の底に落ちていった。

ただそれがまた因果応報として即座に巡って来たのか、落下の衝撃でも意識を失えなかったせいで、意識がはっきりしたまま無数の蟲に食われた。
一方、別れた妻が息子の代わりに復讐を遂行しているとはまだ思いもしておらず、肩身の狭い思いをしながら警官を続けている流は、自身の痛みが癒えぬ中、また生徒が消えた学校と関わらざるを得ず、そうと知らず元妻に近づいていた…







































