路傍のフジイ3巻
土日の休みに出かけた田中は人の多さ、店でゆっくりしたくても嫌でも聞こえてくるそこら中からの話し声で、リラックスできるような環境ではなかった。
カップル、親子、友達グループ。
一人で過ごしている劣等感や嫉妬は間違いなく感じていたが、フジイと交流を持つ前に比べたら雲泥の差だった。

そんな時、新婚の友人夫婦に家に遊びに誘われ、改めて石川への想いに蓋をした。
誰かを特別に思えず誰かの特別にもなれてない現状でも、友人たちに新しい命が授かったと知って心から祝えたのは、単純にいい奴らだと感じているからだった。

19話
深夜のラーメン屋で流れていた、スッと耳に入って心に残った曲。
フジイは鼻歌検索で探してみたが見つからず、街で見かけたCDショップの店員さにも聴いてもらったところ、かなり通っぽいお姉さんが正解を導き出してくれた。

ガッツリ聴き込んで、その勢いでライブに足を運べば客層は如何にも音楽好きそうな若い女性ばかり。
矢部なんかはティーン向けで薄っぺらいと通ぶって人の趣味にケチをつけ、外山に似た器の小ささを自らひけらかすのだった…
20話
妙齢の湯沢さんが結婚して引っ越すので、退職することになった。
仕事一筋そうなイメージがあり、フジイはシンプルな言葉を寄せ書きに添えた。
社長の行きつけスナックで送別会が催され、実は同僚と交流がなさそうなフジイを気にしていたことが分かった。

結婚したいと思える人がこのタイミングで現れただけの話、人は好きで人生を楽しんでいるフジイにもいつか、自分からグイグイアプローチしたくなる相手と出会えるだろうか…
21話
中学校時代のフジイは今を若くしただけでもうフジイだった。
同じクラスの澤部は進級直後しばらく休んで、初っ端の友達作りに出遅れた結果、いわゆる冴えない陰キャ認定されったぽいフジイと小太りと自然に一緒にいる流れになったのだが、自分はもっとイケてて目立つグループにいるべきだという自己評価が根拠なく高く、すぐ上下を決めつけて態度を変える嫌な奴だった。

常に敬語でフジイはその他大勢とは違う異質さがあるが、それなりに共に過ごせば信頼できる相手だと分かる。
ただイケメンだ可愛いだ、運動ができる勉強ができる、笑いと取れる目立つなどが立場に作用する思春期において、フジイの純粋さに惹かれる奴はそういないし、転校を繰り返したのも人の記憶に残らない一因だった。
それでもフジイは、損得無しの行動で誰かの心に残る男だった…

22話
よく知らない不登校の同級生にプリント系を持っていくよう、担任からフジイは頼まれた。
初訪問は相手の馬場も警戒して会おうとしなかったが、二回目は若くてキレイな母親が申し訳なく思い、フジイをあげて息子とコミュニケーションを無理やり取らせてみた。
ツレが陰で言っていた母親に対する軽口を密かに聞いてしまい、ふわっと不登校になっていった馬場は、一度も学校に来いなんて言わないし、漫画の趣味が合うフジイにはすぐ肩の力が抜けて接せられるようになった…

23話
漫画を借りて、ゲームをして、晩御飯をご馳走してもらって。
馬場と仲良くなり、馬場ママにも気に入ってもらえたフジイは、小太りと澤部の3人で夏祭りに繰り出した。
澤部は相変わらず二人を見下す態度を隠さず、鉢合わせた今は別クラスで元友達連中グループに混ざり、小太りとは見限り合った。

フジイはただ目当てに屋台に行っただけだが小太りとはぐれてその夜はそのまま、3人の細く脆い友情は儚く消え、フジイは転校することになった…
24話
学校の帰りのフジイと買い物帰りの馬場は鉢合わせ、感傷的になっていたフジイが長めの散歩に誘い、馬場は街が見渡せる高台に連れて行った。
そこでフジイは転校することを切り出した。
見送りに来たのは亮と馬場の二人、そこで初対面のようなものだった二人の友情が始まったのかどうか、フジイには知る由もなかった…

25話
それから数十年、馬場とフジイにまた繋がりができそうなきっかけになったのは、成田亮のタヒだった。
フジイが引っ越した後、別々の高校に進んだが最寄り駅が一緒だったこともあり、往き帰りに会えばそれなりに喋る浅いような深いような関係性だった。
中学の同級生で作った旧交を温めることもないトークグループで知った、特に仲良くはなかった同級生の葬式にフジイが来てないことから訃報を知らないんじゃないかと思い、馬場は何とか連絡を取ってみることにした…

26話
今も繋がりがある石川の数少ない大学時代の友人は、風俗の同僚でもあった。
詩織が石川を風俗に誘い、今でもパパ活として石川だけが僅かに風俗嬢としての一面を残している。

二人が久しぶりに会ったのは、デキ婚することになりもうお腹が大きい詩織から連絡したからだった…
































