姉なる千夜
寝て起きたら傍にいた千夜は夢でもなんでもなく、間違いなくあの時の悪魔で、契約をしたからしっかり姉としてここにいるのだと言う。
姿は人間に変わり、衣服も自由自在に出現させられるらしく、それを証明するかのようにワンピースを消して見せ、白い肌をさらけ出して全裸になった。
あまりの美しさに一瞬言葉を失ってしまうが、彼女はもっと確実に人間になったことを確かめさせようとして、自分の胸に彼の手を触れさせた。
白く温かく柔らかい感触に、彼は頭に血が上って胸でいっぱいになっていく。

どうにか姉はそういうことをしないものだと伝え、彼女は一つ一つ人間とはどういうものか学んでいくのだった。
次は姉として弟の世話をしようと考え、料理をする気になるが、悪魔の常識を持ち出して材料を調達しようとするものだから、また慌てて夕が止めに入った。
神や悪魔として人間から供物をもらう立場だった彼女に現代の人間社会の常識がないのも当然と思い、優しくて綺麗な姉と一緒に料理するというシチュエーションに持ち込み、家族としての思い出を増やすことにした。
ご飯を食べ終えると、不思議と身体の力が抜けて眠たくなってきた。
それがあの時にされたキスの影響だとは思わないまま、柔らかい太ももに頭を乗せて、始まったばかりの夏の一日の疲れを癒していく。
千夜は慈しむように、弟を大事に思う姉としておやすみを言った。

おじさんのお見舞いの帰り、ふと見つけたツユクサの花を摘もうとした時、足を滑らせて田んぼに落ちてしまった。
泥だらけで帰ってきた夕を見るなり、千夜はどこの薄汚い下等生物にこんなにされたんだと騒ぎ出し、みるみる出会った時の姿に変わって、怒りの表情になっていく。
ただ自分で田んぼに落ちただけだと熱心に説明すると、どうにか角を引っ込めてくれた。
夕が外の水場にあるホースの使い方を教えてあげると、自分も濡れるのも構わずに無邪気な子供のようにはしゃぎ出した。
しかし、彼が服を脱いで素肌を見せると、思わずドキッとしてしまい、またみるみる元の姿に戻って彼ににじり寄った。
「お姉ちゃんが身体、洗ってあげよっか」

彼が断るのも無視して石鹸で泡を立て、触手にまとわりつかせて彼の肌を優しく撫でていく。
ピリピリと微かに電流が流れるような刺激が気持ちよく、頭がふわふわして何も考えられなくなっていく。
耳元で甘く囁かれ、胸が背中に押し付けられる。
触手がズボンの中に入ってこようとした時、ポケットに入れていたモノに気づかれた。
それは田んぼに落っこちながらもしっかり摘んでいた、ツユクサの花だった。
千夜に似合いそうだったから・・・
そんな優しい言葉を生まれて初めてかけられた彼女は心から喜び、お礼を言って見つめる。
二人はスッと視線を外してまた合わせる。
自然と近づいていく二人の顔・・・

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