10話
そして舞台本番当日。
客のほとんどは金田に黄色い歓声をあげていたが、どんなスポーツの大舞台でも緊張してこなかった千石は平然としたまま、最初に一人で演技をしなければならない舞台に立った。
暗転した直後に自分にスポットライトが当たった瞬間、自分だけを見る無数の目に気圧されてしまい、一言目の台詞が飛んでしまった。

自分の鼓動音がやたらと大きく聞こえる10秒間を経験して、何とか台詞を捻り出したが、もう動揺は観客に伝わり、完全にしくじったことがばれていた。
それでも、今日子が出てきて一言目を発した途端に空気は一変した。
さらにおよそ8行分の台詞を息継ぎなしで言い切った圧倒的な技術と度胸は、魔法とも言えるパワーを持っていた。

その後で千石のミスを笑いに変えて彼の緊張も解し、練習通りの舞台に戻した。
後は、千石の演技で死神を見せれば完璧だった。
11話
今日子の魔法で期待感を募らせ、千石の演技で死神がこの場にいるかのように見せるダブルパンチで最高に良かったと思わせる舞台になるはずだった。
しかし時間だけが過ぎ、住宅街で子供たちに見せたような奇跡が起きない。
もうその場面が終わろうかという時、ライトの当たっていない暗がりの中にいる今日子が動いた。
その瞬間、彼は自分の中にあったトラウマの正体を思い出した。
子供の頃に植えつけられたそれは、偶然と才能が起こした悲劇と奇跡で、彼女の動きに合わせて彼は観客席の後ろを見た。
そしてそれに誘導されて、観客全員が後ろを振り返ったのだった。
何もいないそこを全員が見たそれは、もはや演出の域を超えた奇跡体験だった。

子供の頃の千石と明日花の出会いが会場に充満し、目を離せない緊張感に包まれたのを、彼はなぜか自分から解いた。
彼女の復讐を完璧にするため、さらに高みを狙っていたのだ。
12話
如月今日子として舞台に立っている以上、明日花は姉と舞台の役と二役を演じていることになる。
だから、姉ではなく明日花として演技させることにより、全てをこの舞台の役に注がせればもっと凄い彼女が見れると考え、彼はアドリブで彼女を抱きしめ、明日花を舞台に引きずり出した。
その直後に見せた彼女の演技は、会場全体を飲み込んだ。

涙と歓声に包まれて舞台は大成功を収めた。
そして残り3劇団も滞りなく公演を終え、勝者を決める投票が行われた。
最終13話
そして演劇祭終了後へと続く・・・
感想
ブタイゼミ2巻にて完結です。
面白度☆7 穏やか度☆8
最後まで血を見るようなドロドロ感はなかったですが、これはこれでスッキリした終わり方で良かったです。
木に登ってミンミン言い出した時はかなりヤバい漫画かなと思いましたが、青春系にカテゴライズしたのは間違ってませんでした。
できれば、もう少し常峰にもフューチャーして欲しかったですが、最初からこの二人の物語として構成されていたんでしょうね。



































