玄関からいきなりだだっ広く、彼女の涙も驚きで一気に引っ込んだ。
リビングダイニングキッチンもアパートの一部屋と比べるのがバカらしいほど広く、吹き抜けていて開放感まであった。
浴室も広く、浴槽は二人で入っても狭くないように大きかった。
子供も十分に産めるよう、4部屋も子供部屋が用意されていた。
先走った子作り計画はさておき、その他にも部屋があるようだが後回しにし、ベリアルは夫婦の寝室に彼女を案内した。
そこも無駄に広くて天井も高かった。
それにはちゃんと意味があり、ベリアルが真の姿を現せるようにし、好きな体位を思いのままに挑戦できる広さと、彼女の喘ぎ声が外に漏れないようにするための壁設計が施されていた。

もちろん、事後にすぐに汗を流せるよう寝室にはシャワールームまで備え付けられていた。
この豪邸を完成させるための一年間でもあったようで、彼女の驚いて喜ぶ顔を期待しているのがありありと伝わってきた。
身に余るほどの豪邸でもその気持ちが嬉しかったが、彼女は複雑だった。
サプライズを企画してくれるよりも、一度だけでもいいから無事だと連絡が欲しかった。
そんな気遣いを求めると、ベリアルも驚いてサタンから定期連絡があったはずだと確認するので、彼女はそれがなかったから一年間、ずっと不安だったのだと言い返した。
そこでベリアルも彼女が一年間も放置されていたことを知り、サタンが忙しいはずのクリスマス時期に引き受けてくれた理由を察し、彼女もサタンに雑に扱われていることを知った。

味方が不安を煽る伏兵だったことが分かって妙な空気になるが、ともあれ、ベリアルはもう不必要な苦労をさせるつもりがないことを伝え、改めて夫婦として共に生きていくことの挨拶をした。
彼女はまた喜びで涙が込みあがり、心からの返事をした。

ここからが始まりであり、両親が懸念した後悔が愛を上回るかどうか分かってくる。
それでも彼女は不安よりも、きっと愛で全てを乗り越えられると信じられる気持ちの方が強かった。
この一年一人で過ごした彼女は、寂しくも頑張った記録のアルバムを一緒に見ながら、普通に生活していくことの大変さが分かり、ベリアルがどれだけのことをしてくれていたのか分かったと打ち明け、感謝した。
ベリアルは、感謝を言えるようになった彼女の成長を喜んだ。

そしてこの一年、とにかく眠ってばかりで傷を癒すことに集中していたのだといい、眠りの中で見たのは彼女の夢ばかりだったと打ち明けた。
美しい魂がやがて一人の命になって天使のような赤ちゃんとしてこの世に誕生し、笑顔を見せてくれ、怒り、泣き、姿も美しく成長して恋を知った。
ベリアルにとって一瞬のような20年間は、悪魔の禁忌を犯すには十分過ぎるほどに輝きすぎていた。

何よりの愛の言葉に彼女は彼を見つめ、ベリアルも微笑み返す。
そっと遠い方の頬に手を伸ばし、優しく引き寄せながら自分の顔も寄せ、ゆっくりと唇が近づいていく。
彼女は今まで彼が見せてきた異端の愛が全て心から愛するが故の無償の愛だと知っているから、後悔などする訳がないと思っていた。
新婚生活が始まった次は、幸せな家族を作るための最初の儀式がしたかった。

感想
この愛は、異端21話にて一部完結です。
ここで完全完結しても潔くていいとは思いますが人気作ですから、インターバルをおいて今冬辺りに二部が始まる予定です。
二部は新婚編と銘打たれているので、甘々ラブラブな子作り生活なのか、当分二人っきりを楽しむのか、とにかく殴れる壁を用意した方が良さそうですね。
https://www.kuroneko0920.com/archives/52448


































