らぎ姉は高木がいる監禁部屋を映したモニターをきららと紗月に見られないように隠しながら、身勝手な思いで行動した山田を睨みつけた。
いるはずのない二人がいても晴輝はふてぶてしい表情を変えず、山田の問いにも答えない。

山田はとにかく彼の真偽を確かめることが最優先で、なぜなら、秋保の人間関係の中心にいるのが他ならぬ晴輝だったからだ。
彼が成長するために用意された舞台にも思える秋保だから、彼を犯人側だと疑うには十分だった。
だから、高木を殺せるとなって初めて、味方だと判断できた。
ただ、殺せなくてもそれならそれで構わなかった。
試されている彼はしかし、きららと紗月が見ていると分かっても余裕のまま、後はらぎ姉に任せて監禁部屋に行こうと促した。
山田は素直に従い、自分で呼んだきららと紗月に何も説明しないまま向かった。
保菌者騒動で守るべき人を全て失っていた山田は半ば自暴自棄になり、悲しみを消えることのない怒りに変え、犯人側の人間を自分の手で殺すことを生き甲斐にしてここまでやってきた。
彼が高木を殺せなくても本来の目的を果たすつもりだった山田は、二人を一緒くたに葬るつもりだった。

そしてらぎ姉にここに呼ばれた理由を聞かされたきららと紗月は止めに行こうと騒いでいたが、らぎ姉がそれを許さなかった。
高木がほぼクロである以上、脱出に同行させるわけにはいかない。
だが紗月が見てきた晴輝なら、いくら非日常に慣れたといっても、友人を殺せるはずがなかった。

その声が届く前に、二人は監禁部屋の中に踏み入った。
山田が高木の背中を鋭く睨みつけると、気配を察した高木が振り返り、真っ先に晴輝を見て大きく目を見開き、驚きで笑い出した。

山田が憎しみで睨みつけるも無視し、別人になったように成長した晴輝の変化に喜ぶ。
ここに来た理由を自分を殺しに来たと理解した上で感じる、抑え切れない喜びだった。

ここに至ってもまだ、彼の表情はふてぶてしいままだった。










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