125話
総理官邸では官僚たちが金平に今後の計画を懇切丁寧に説明していた。
一通り話し、理解したはずの金平に確認する官僚たちだったが、ただ流れに任せて祭り上げられただけの能力がない総理では、ちょっと難しい話をされるとまともに理解できなかった。
だからイライラが募り、螢に比べて説明能力が低いことを罵った。
官僚たちは怒りを抑えてこれ以上説明しようがないことを伝えるが、金平に自分が努力するという考えはなくまた声を荒げるだけで、苛立ちをそのままぶつけて追い出した。
状況を見守ることしかできない秘書も、何も言えなかった。
螢がテロ犯に仕立て上げられ、行方も知れず、ブレーンを失った金平はただ投げやりになるだけで、総理の椅子に座るだけの木偶人形になり果てようとしていた。

それに追い打ちをかけるように、もう一人の秘書が慌ただしく駆け込んできた。
突然アメリカ大統領から電話だと言われた金平は驚きを隠せず、出ろと言われてもまず英語を話せないし聞き取れもしないことを心配した。
もちろん、抜かりなく通訳が訳してくれるので出ないという選択肢も分からないフリをすることもあり得なかった。
だから金平はいつまでも流されるまま、受話器を取った。
こんな状況だからこそ、アメリカ大統領の言葉はそのままでないとしても、空恐ろしい凄みが感じられる。
総理就任のお祝いは一先ず横に置き、スパイにより状況を掴まれていることを前置きされてから、有無を言わさぬ響きで、提案に対する許可が欲しいと言ってきた。
アメリカの総意としての提案。
それを聞かされた金平は乱暴に受話器を置くなり、秘書子に螢を探せと指示を出した。

犯人側と分かっても螢の頭を欲するのは、ただ頼りたいだけなのか、アメリカの提案に回答するには不可欠なのかはまだ判然としない。
一方、高木から聞き捨てならないことを聞いた彼は、復唱して自分が知らない事実を理解しようとしていた。
電話の相手は螢ではなく犯人側の誰かで、秋保は安全地帯などではなく誘導されて作った実験場。
高木はその質問には答えず、外の世界がどの段階まで来ているのかと訊いた。
彼には、段階の意味が分からなかった。
高木は段階と使う意味が分かりやすいように、もう国会が爆破されたのかどうか訊ね直した。

監禁されていた高木がなぜそれを知っているのか分からない彼は驚くが、その反応で高木はもう国会が爆破された段階までは進んでいることを知った。
そして次の段階なら、金平が総理大臣になったはずだと指摘した。
さすがにそこまで言われたら、彼も段階の意味が、犯人側が計画した作戦のポイントなのだと理解した。
ただ、次の段階にはまだ進んでいないことが分かった。
高木はアメリカ大統領の会見放送はされたのか訊くので、彼はその段階までは進んでいないはずだと答えた。
二人の会話に耳を澄ましていた蓮華はいつ始まるかも分からない会見を観るためにすぐにテレビをつけた。
ガールズが二人の会話に耳を澄まし続けているとも知らず、高木はまたあの人と呼称し、全ては計画通りに進み、自分は全ての段階を知っていると白状した。

その段階の中でも螢を利用することが一番ハードルが高いと考えられていたらしく、ただ、金平が総理に就任したのならそれもクリアされている証明になっているようだった。
螢の電話を乗っ取りは晴輝たちの動向を探り操るのに不可欠で、弱点への攻撃も兼ねていたという。
その弱点とは他でもない、彼と香里だった。
自分たちが螢の弱点だと言われても意味が分からない彼は戸惑い、いつものようにクズ兄と呼ぶ。
高木は構わず、天宮螢の弱点は弟と妹への計り知れない兄弟愛であり、二人の状況を分からせないようにすることでじわじわストレスを与えていたのだと暴露した。
彼はまさかの事実に、何をどう言っていいのか分からなかった。
































