69話
エルザが死をもって彼に一生消えない思い出を刻み付けようとしていた。
しかし、彼にしてみればそんな一方的な愛情表現は、かまってちゃんをこじらせ過ぎた究極のメンヘラでしかなかった。
何より、相手を死に追い込むほどのクズ男とは思われたくなかった。
死ぬなんて自己満足。
生き続けて傍にいる方が思い出すに決まってる。
蹴るわ殴るわ切り刻もうとするわで、そんな女のことなんか忘れることなんかないと彼は叫ぶ。
そこまで必死に思いをぶつけるのは、もう二度と目の前で崩月で死ぬところを見たくないからだった。
だから、男らしく交尾させろと叫んだ。

ここまでストレートに本音をぶつけられたエルザはすっかりメスの顔になり、頬を赤らめていた。
交尾させろなんて望まれたら、「うん、交尾して♡」と答えるしかなかった。
直後、一瞬で胸を丸出しにされてから猛り立つ男根を根元までぶち込まれ、エルザはあり得ないくらいの気持ち良さにつあああああと喘いだ。

彼の激しく素早くリズミカルなピストンの凄まじさはまるで、1週間禁欲した後の一発目だと言われればそう見えた。
パン、あっ。パン、あっの応酬が続く中、エルザは悔しくて仕方なかった。
だって精子製造機でしかないと蔑み切っていた男の彼に突かれることが、生きてきた中で一番気持ちいいのだから。
交尾させろを受け入れて良かったと思えた。
あのまま独りよがりに死ななくて良かったと思えた。
こんなに気持ちいいことを知らずに死のうとしていただなんて、本当にギリギリの危なさだったと思った。

エルザはそんな風に脳内が快楽物質で敷き詰められていたが、彼はバックで獣みたいに犯しているのに焦っていた。
今までの交尾経験上、これだけピストンしたら首筋に痣が浮き出るはずだったが、エルザはあんあん喘いでいるだけで首に変化はなく、相変わらずキラキラと眩く光っていた。

どうすれば呪いが解ける分からない彼は、オーガズムがキーポイントなのか、それとももう手遅れなのかと考えを巡らせながら、腰の動きは止めなかった。
彼がそんな風に焦っているなんて露知らず、エルザはまだまだ悔しがっていた。
正常位でがっつり組み付いて大しゅきホールドして男根と膣の隙間から泉を溢れ出させまくって、喘ぎ声の野生味がうなぎ上りに上昇していく。
ほあああああと叫んだ後には、声にならない声でじわじわ絶頂に近づいていた。

その段階になると、心の中でも素直になりかけていた。
悔しいと思っていてもその実、そんな風に思っていないことは分かっていた。
オスブタの彼にイカされることは屈辱だと思っていたのは言い聞かせていただけで、深層心理からこみ上げる幸福感にもう抗えなくなった。
彼が足を軽く持ち上げながら、ハードピストンの仕上げに注ぎ込んだのと同時に、エルザも全身全霊でオーガズムを感じた。

直後、彼の目の前からエルザは消えてなくなった。
持ち上げていた足を包んでいたタイツだけ一瞬宙に浮いて残る光景は、彼が透明人間を相手に腰を振っているようにも見えて、逆に滑稽だった。
落ち着いたバニーユが部屋のドアを開けて中に入った直後、何が起こったのか察して驚愕した。
だが取り乱すようなこともなく、遺されたエルザの服の前で全裸でちょこんと座っている彼に怒りをぶつけるでもなく、彼が喋り始めるまで黙って待った。

できるだけのことをやった彼だが間に合わなかった後悔がこみ上げ、いいように殴る蹴るだけして勝手に消えてしまったのだと打ち明けた。
バニーユは仲間の死に「そう」とだけ返し、遺された服を拾いながらエルザが悦んでいたかどうか訊ねた。
しかし、腰を振るのに必死だった彼はエルザがアヘっていたのを見ていたが、ちゃんとした言葉で気持ちを聞いたわけではないので、知らないとぶっきらぼうに答えた。

それもバニーユは「そう」とだけ返した。
崩月を二度目の当たりにした彼はもう我慢できず、ここサンドリオにいる嫉妬深い神のところに連れて行けと迫った。
神を殺せば呪いが解けて崩月から解放されるのだと改めて説明して自分が殺すと宣言するが、その要求を拒否したのは残り二人のガーディアンだった。
いつの間にか部屋の中にいたアマネとカヅチ。
どっちがどっちか分からないが、ぴったりニットで美乳を強調している飛行帽女がコミュニケーション担当らしく、彼の性器を見苦しいと吐き捨てた。

































