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ライムライト・レモネードジャム

129話

一つ生き残っていたカメラから音声だけ聞いていたガールズが銃声を聞き、程なく彼の叫び声も聞こえて混乱に陥りそうになった時、きららは二人の異常事態からその先を予想し、先頭に立って向かおうとするらぎ姉を呼び止めた。

 

嫌な予感が拭えず、道の駅駐車場にいる姉のところに向かい、別行動を取ることを伝えた。

 

そして紗月を名指しし、彼のことを任せるとも伝えていたのだった。

著者名:及川徹 引用元:マガジンポケット

 

 

ただ紗月は怒涛の展開に一つずつ飲み込むだけで精一杯で、きららの別行動や任されたことの戸惑いも蓄積されていた。

 

 

そして今、秋保全体の指揮を執り始めた彼の傍にはいるが、特に何ができるというわけでもなかった。

 

 

彼は滞りなく指示を出していた途中で、きららだけいないことに気づいた。

 

紗月に駐車場に向かったと聞かされ、一瞬で不安の色が顔に広がるのが分かった彼女は何か声をかけなければと思うが、こんな状況で彼がどんな言葉を欲しているのか見当もつかない。

 

紗月がまごついているうちに顔から不安を消した彼が再び指示を続けるので、紗月は任された自分の役目をどう果たしていいのか分からず、戸惑いが加速していく。

著者名:及川徹 引用元:マガジンポケット

 

 

きららが別行動を取ったこともそうだが、保菌者騒動が始まって別れてから、彼がどこで誰とどれほど危険なことをしてきたのか、今もどれほどのプレッシャーを感じているのか知らない自分を思い知り、自分のことだけ考えていた浅はかさに気づいた。

 

だから、濃密な時間を過ごしてきたきららなら分かるかも知れないと思えた。

 

 

紗月が悩んでいる間も彼はそれぞれに向かう場所と何をすべきか指示を出していき、最後に紗月にも指示と言うよりはお願いに近い形で、一緒に来てくれと言った。

 

予想していなかった言葉に、紗月は驚くことしかできない。

著者名:及川徹 引用元:マガジンポケット

 

 

その直後、どこからか揺れまで伝わって来そうな巨大な爆発音が聴こえてきた。

 

彼は瞬時に地図を指差し、秋保から外に出る大きな道路のうち、三つが爆破された音に違いないと指摘する。

 

高木の話で色々予測できていた彼は、国会爆破と同じように綿密に計画されていた爆破だという。

 

これで進む先は山の中か自衛隊が待ち構えている山形方面への道しかなく、それも予想通りの犯人の狙いだという。

 

 

一人だけ合点がいっている彼はしかし詳細を説明せず、ただ皆が死なないよう祈り、声をかけて送り出した。

著者名:及川徹 引用元:マガジンポケット

 

 

作戦開始を告げてそれぞれの行くべき方向に散っていく中、彼は走りながら轟に連絡したが、向こうからの応答はなかなか返ってこない。

 

 

 

その頃道の駅駐車場では、また別の進化を遂げた一人が異形の保菌者となり、ついに犠牲者を出していた。

 

麗を襲った女性と同じように後頭部に顔を生やしたそれは、超人ハルクを思わせる筋肉の塊状態で、スーツの中年男性を上半身と下半身の二つに引き裂いていたのだった。

著者名:及川徹 引用元:マガジンポケット