ハルク保菌者は両方の口からそれぞれ引き裂いた体を飲み込み、肉を割く音や骨を噛み砕くおぞましい音を立てながら咀嚼していく。
避難民たちは遠巻きに見ていることしかできず、ホラー映画のような光景に悲鳴さえ出てこない。
男性を食いきったハルクは、続けて動かなくなっているこの場で最初に進化した後頭部口女に手を伸ばした。
しかし、手が届く前に誰かに声をかけられ動きを止めた。
堂々と声をかけたのは、巨躯とはいえハルクには到底及ばない轟だった。

だが轟は一切恐れを見せず、渾身の突きを叩き込んだ。
意外に脆いのか、轟が人間離れしているのか、ハルクは大砲の直撃でも食らったように肉片を撒き散らして吹き飛び、あっさり過ぎるほどに倒された。
轟は残心の気合を入れ、勝利に華を添えた。
すぐに通信が入っていた彼の声に応答し、既に発生した新保菌者3体のうち、2体を倒したと報告。
残りの一体は髪をクロワッサン状に伸ばした元女性らしく、とてつもなく硬いのか、髪で一人の男性の腹を貫いて殺していた。
見た目だけは人間とそこまで変わらないから余計に恐ろしく見えるそれに対峙していたのは、ながみんだった。
そしてながみんも一切恐れず、むしろ静かに興奮していつもの上半身水着になり、薙刀の妙技を繰り出して一瞬で仕留めたのだった。
感染から回復し、自由に戦えたながみんが思わず笑みを零したのをよそに、轟は彼に謝った。

謝った理由は、犠牲者を出してしまったからだった。
彼は轟の謝罪には何も言わず、自分が理解していることを考えて、轟に先に指示を出すと答えた。
一人二人の犠牲者を悔やんでいる暇もなくなるほど進化の感染は強力な保菌者を生み出し続け、それを上回る厄介な敵が駐車場に現れると言い切った。
詳しいことが分からなくても余計な質問を挟まず指示の内容を催促した轟に、彼はらぎ姉たちと同じ約束をするよう促した。
自分が到着するまで絶対に死ぬなと。
轟は自信満々に、任せろと答えた。

その直後、らぎ姉から連絡が入り、自分がここまでの情報を説明した後に作戦の説明を頼むと言ってきた。
彼は了解した後、すぐに反対意見を出した隊員に部隊を引き連れてコンビニで自分と合流して欲しいと指示を出した。
紗月はきららがいるはずの駐車場に真っ先に向かわない判断を下した彼の言葉に驚き過ぎて、彼がとてつもないプレッシャーと不安に襲われていることにまだ気づかなかった。

彼は静かにするべきことに順番をつけたという。
自分が率いる部隊は、犯人側が計画した作戦を覆し、風穴を開けるんだと宣言した。
その頃、ある場所で多くの自衛隊員たちが倒れ伏していた。
感想
インフェクション128話129話でした。
心理戦というか、静かに進んでいくパートはこの辺りで終わりそうですね。
麗の安否がどうなったのか、紗月がどう必要になってくるのか、楽しみです。
https://www.kuroneko0920.com/archives/55612
































