87話
ギリギリで間に合った三日土。
最も頼りになる上司はきっぱりと、大事な人間は誰を見殺しにしてでも守れ、俺ならそうするとアドバイスした。
そしてもう一つ、これは業務連絡だと言いながらピノに斬りかかり、半壊人を人間と思うなと改めて伝えた。
ただピノもさらりと躱して蹴りを反撃を繰り出すが三日土も躱してもう一度振り抜いたが、やはり身軽な動きで躱されてしまう。

レールの上で曲芸師のように動きまわるピノはブレイクダンスの要領で逆立ちしながら渾身の蹴りを繰り出す。
三日土はそれも冷静に躱すと、無防備にさらけ出された腹に剣を振り下ろした。
今度こそ肉を捉えたが、途中まで刃が入ってぴたっと止まった感触に違和感を抱き、傷口から蹉跌のようにパラパラと何かが零れ落ちるのを確かに見た。
蛇ヶ崎はそのタイミングで相手は何も通用しない不死身だと忠告するが、時既に遅く、ピノは三日土の首根っこを捕まえ、生命エネルギーを吸う悪魔だと自己紹介した。

だがすぐに三日土に何も変化が起こらないことに驚いた。
敵が戸惑っている間に拳を振りかぶった三日土。
ピノも殴られるのは諦めて蹴りを繰り出し、意地のカウンターで痛み分けに持っていった。
ピノの宣言と蛇ヶ崎の腕が触られたことにより腐り落ち、今もじわじわ侵食されているのを見た三日土はピノの能力に気づき、蛇ヶ崎の髪の毛を引っ掴んだ。
そしてこれ以上蛇ヶ崎の身体が最近に蝕まれないよう、腐りかけている腕を更に斬り落として防いだ。

この僅かな戦闘とピノの言葉、蛇ヶ崎の腕から、身体を培養土にして細菌を飼い、相手の身体に侵入させて壊死されているのだろうと推測した。
言わば、殺人細菌半壊人。
あのままだとすぐに脳まで侵されて死んでいたと言われた蛇ヶ崎は怖気を振るい、自分の細胞でできている銃弾が通用しなかった意味を理解できた。
ピノの能力を見抜いても物理攻撃が効かないとなると、三日土にも今のところ打つ手がない。
こんなに早く見抜かれたのは初めてだったピノはそれでも嬉しそうに小躍りし、逆に三日土の能力をダイヤモンド人間だと評した。
そしてまたいいことを教えてやると言いながら助走をつけ、下駄を二つとも蹴り飛ばした。
三日土は容易く剣で弾き返すが、その攻撃は注意を逸らすためのモノでしかなく、新たなトロッコが近づいてきた。
しかしコースを変えてベルの方ではなく、五人が拘束されている方に進んだ。

ピノが宣告した死は三日土にではなく、他の五人に対してだった。
さすがに三日土も向こうに気を取られて集中が切れた直後、全く身構えていない状態で顔面に蹴りをぶち込まれてしまった。
ギリギリ枕木を掴んで落下を免れた三日土だが、そう簡単に上には上がれず、片腕を失った蛇ヶ崎は何もできずに踏み倒され、少しはポイントが溜まっていた腕時計を捨てられ、10000Pを貯めてデッダー城に来いと煽られた。
直後、ベルを攫われると同時にトロッコが五人を撥ね飛ばし、バラバラの肉片に変えてしまった。
結果的に助かった蛇ヶ崎と三日土だったが、誰も救えずに逃げられただけだった。






























