149話
エリック率いる海兵隊は道の駅駐車場に着くなり、素早く避難者たちを逃がすまいと取り囲んだ。
迷彩服を着こみ、銃で武装した連中がいきなり現れ、確実に駐車場は戸惑いが広がっていった。
轟から海兵隊の人数を聞いた彼は、潔く勝ち目がないから戦うなと指示した。
海兵隊の基本的な役目がこの場に止まらせて保菌者に変わるのを待ち、進化情報の発展を狙うことだから、無駄に殺すような真似はしないはずだった。
反撃に出るのは、彼が合流してからだがそれにはまだ時間がかかる。
そこで彼は、エリックが軍服を着ているかどうかを訊ねた。
質問の意図が分からない轟は見たまま私服だと答えると、彼は武装していないというところに注目し、海兵隊に指示を出すよりも他に重要な任務を抱えているはずだと読んだ。
そうなれば、ながみんには保菌者を倒し続けてもらい、轟にはエリックの行動の自由を奪えと指示した。

黙って聞いていた轟は、その作戦を完遂できるいい案があるんだろうなと訊き返した。
彼は堂々と信じるから任せたと丸投げするが、そう言われることを予想していた轟が笑い飛ばして了解してくれると、ながみんの暴走を止めるキーワードも伝えた。
そして、きららに思いを馳せて更にプレッシャーを与えた。

大事な人がそこにいるから、必ず作戦を成功させてくれと。
私欲でプレッシャーを与えられた轟はそれでも文句一つ言わず、逆にヤル気を漲らせると群衆をかき分けて抜け出し、エリックに近づいていった。
全て計画通りでアメリカ人ということに誇りと驕りを抱いているエリックはジジイ呼ばわりして戻らせようとするが、轟は蔑むように失笑を漏らし、臆せず距離を詰めていく。

轟は高校生に作戦を看破されている浅はかな野郎だとバカにしながら前に進み、簡単には殺せないエリックは脅すだけ。
それを見越して悠々と距離を詰めた轟は自分の間合いまで入ると、もう一度エリックの浅はかさをバカにした。

晴輝や山田と同じく、神城のトレーニングにより達人の域を超えていた轟はゆらりと立ち止まった直後、目にも止まらぬ速さでエリックの目の前まで移動した。
キスでもせんばかりの近さにエリックは当然戸惑い、一歩後ずさった。
すると轟も同じ側の足を進ませ、何歩下がろうと一定の距離を保ち続けた。
これが物理的にエリックの自由を奪う轟の作戦だった。
目の前から離れず好きに動かせない零距離ならば、神城相手でも渡り合えると豪語する自信たっぷりの手段。
これぞ、二心同体。
































