何か含んだような微笑みを讃えながら現れたラティは、宙に足場があるようにハイヒールのかかとをつけてから床に降り立つと、恭しく挨拶をした。
異質な気配のせいか、ウェンヌが目を覚ますと見たことないダークエルフがいるのでシンプルに驚いた。
アルクは見張りの兵士をどうにかしてもらおうとするが、彼女はラティにより既に夢の中だった。
ラティがどんな魔法で見張りを夢の中に誘ったのかはさておき、ウェンヌはどうも親しそうに話すダークエルフとアルクの関係が気になり、猜疑的な目を向けて敵意を露わにする。
アルクがラティに抱いている印象は、敵ではないが味方でもないというもので、それも知りうる限りのことを教えてくれないことからの拗ねだった。
つれない評価をされても、さして気にしてないように残念がったラティは、アルクが質問しようとするのと同時につかつかと近づき、無言で舌を絡め合わそうとした。

まさかの性的な関係を持っていることを臭わせる行動にウェンヌは声をあげて驚くが、この状況で致す気にはなれないアルクはラティを振り払った。
その一キスでアルクが溜まっていることを見抜いたラティは語る。
ラティ本人、ウェンヌ、獣人。
彼女たちと肌を合わせたことを思い出さずにはいられないアルクを悶々とさせたラティは、現在一息分のマハトが溜まっていると指摘した。

一息と言われても、具体的になんのことか分かるはずもないアルク。
彼の疑問には答えないラティは、肌を合わせた女性に力を与えるだけで自分を強化できないことに歯痒さを感じているだろうと訊き、アルクを焦らせる。
そこでラティはまたおもむろに近づき、その段階が来たからなのか、マハトについて耳打ちで何事か情報を与えたのだった。
その密着具合に、ウェンヌは嫉妬の炎を燃え上がらせた。

伝えるべきことを伝えたラティは、マハトは用法用量を守らなければ危ないと忠告して、黒い靄の中に消えていった。
直後、見張りが夢から覚めたので、ウェンヌはスッとアルクに近づき、ラティが何者なのか訊いてもササっと答えてくれないので、また嫉妬して頬を膨らませた。
直後、兵士が大騒ぎしながら飛び込んでくると、見張りにキャシアの重大事を告げた。
それは相当の緊急事態らしく、見張りは役目をほっぽって現場へ向かったのだった。
二人も何が起こっているのか気になったその時、床石がカコッと盛り上がったかと思うと、床下から小さな子供が出てきた。
それは雪山で助けたターニャだった。
牢屋と手錠の鍵をくすねてきたらしいターニャは素早く二人の拘束を解くと、二人に逃げるよう促してから目に涙を溜め、大きな魔獣が出たのだと搾り出した。

月が尖った山脈に隠れる、澄んだ月夜。
あのキャシアが魔獣相手に為すすべなく膝をついていた。
魔獣の周りには倒れ伏している女兵士たちがチラホラ。
まだ立っている兵士たちはここでキャシアを失うわけにはいかないと考え、逃げるよう促すが、自分の強さに高いプライドを持っている彼女に背中を向けるという選択肢はなく、制止を振り切り渾身の魔力を込めて魔法を放った。

魔獣の周りを強固な雪で覆い尽くし、がっちり固めてピラミッドの中のファラオの如く封じ込めた。
強力な攻撃により、くずおれるほど体力を使ったキャシア。
しかし雪の牢はあっさり打ち破られ、魔獣は蚊に刺されたほどでもなさそうな澄ました表情を向けた。
無駄な抵抗をするキャシアに、段違いの実力を忠告する魔獣。
そいつこそ、雪原の魔人の異名を持つサスカッチだった。

感想
終末のハーレムファンタジア16話でした。
ようやく終末のハーレムの一番大事な世界観が描かれ始めましたね。
つまり、瘴気がこの北国だけから噴き出しているのかどうかが、重要になってきそうですね。
https://www.kuroneko0920.com/archives/63401



































