夜襲
襲撃を返り討ちにした翌日、彼らはダイビングショップで使えそうなものを漁り、海に繰り出した。
男たちは、見た目だけは綺麗な水着姿の二人に色めき立った。

集落の家屋の中の物品は、ここで生きて見せろと言わんばかりにほぼ手付かず状態だった。
おっさんは結構海産物の知識があり、全員で貝を採って舌鼓を打った。
そこでチャラつきながらも好戦的なエミは、カイトの人殺しで無いという訴えを信じつつも、人殺しと言われた美空が昨夜、泣いていたことを伝えた。

その夜、美空の色々な表情を見せられたカイトはなかなか寝付けず、ふと窓の外の海を眺めると、暗い海の中にずぶずぶ入っていっている美空が見えた。
吸い込まれるような闇の海に踏み込み、自暴自棄な心で全てを終わらせようとしていた美空。
カイトの言葉が沁みいった美空はその彼の言葉にハッと足を止めるが、こんな場所で生きるくらいなら死を選ぶという。

カイトは自分が家族殺しの冤罪でここに送り込まれたことを訴え、美空にも死ねない理由はないのか問い質した。
彼女がそんなものはないと答えようとしたその時、海沿いの道からいくつもの松明の灯りが近づいてきた。
夜襲だった。
二人は石と木の枝を拾うと、仲間を助けるために戻って奇襲を仕掛け返したが、あまりに突然のことで暗闇にも邪魔され、手傷を負わせながらも失敗してしまい、一時退却。

しかし距離を取れば強肩を活かせるカイトは、暗闇に紛れて追い払うための一投をぶち込み、一人に重傷を負わせた。
それでも美空を性奴隷にしたいジンボ一派は諦めず、しつこく追いかけてきた。
そこでカイトは坂を駆け上がって廃校舎に潜み、もう一方の分かれ道側に石を投げて物音を立て、襲撃者をそっちに誘導して追手を躱すことに成功した。
それでもすぐペンションには帰らず、校舎で一晩を過ごす方が安全だろうと考えた。
しかし美空は、危険を顧みず助けてくれ、クズ共の命さえ尊重するカイトに心乱されてしまう。

人の悪意に全てを奪われた美空にとって、今更優しさを向けられることは、逆に計り知れない辛さを感じさせる諸刃の剣だった。
それに応えるように、カイトは家族の優しさに甘えて野球に打ち込み、身体を壊して挫折してうらぶれ、それでも優しかった家族の大切さに遅ればせながら気づいた人生を語った。
そして、家族惨殺の罪でこの島に送られたという。
この島でカイトの人らしい心に触れた美空は、彼が人殺しではないと信じることができ、罪を着せられてからずっと疲れ果てている横顔を見つめて目を閉じた。
翌朝、今まで通りにおぞましい悪夢を見た美空だったが、最後の最後に助けを求める声に手を差し伸べてくれたカイトが夢に現れ、目を覚ました。
すると本物の彼の肩に頭を預けて寝ていたことに気づき、乙女の顔で慌ててしまう。

どうにも甘い目覚めになったが、襲撃者と決着をつけなければいつまででも平穏に生きることは叶わない。
美空が戦うことを決めると、カイトは殺そうとして殺しはしないことを宣言し、迎え討つ意思を固めた。
木剣代わりの枝で女剣士ばりに躍動する美空と、凄まじいダメージを与えられるカイトの投球で連携を取れば、何人かが一斉に襲いかかって来ても何とでもなった。
所詮、寄せ集めの犯罪者は野戦になるとただの有象無象でしかなかった。
しかし、血も涙もなく暴力と性欲だけのジンボは、美空たちを諦めるつもりはなかった。
感想
無法島2巻でした。
面白度☆8 クーデター度☆8
ジンボは相当イカレてて怖いですが、寝込みを襲うなりすればいつ殺されるかも分からない独裁を終わらせられそうですけどね。
美空が徐々に可愛くなっていく過程、カイトが本当に冤罪なのか確定するのが楽しみです。
https://www.kuroneko0920.com/archives/72140



































