39話
奇々怪々な扉に行く手を阻まれ、来た道からはどこからともなく出現したゴブリンの襲撃。
扉開けをアークメイジに任せた彼は狭い一本道の出入り口に陣取り、数の利で押されないように確実に一体ずつ仕留めていく。
今は搦手より一撃必殺が有効だが、一人で全てを相手にすれば次第に返り血も邪魔になってくる。

それでも手が滑ろうが、陰に隠れて槍を突かれようが、大きなダメージを食らうことは許されず、何を使っても素早く一撃で返り討ちにしなければ全滅は必至。
相手の武器を奪って豪快な一撃で頭を潰せば、少しはゴブリンも怯むというものだが、あくまで体力が尽きるまでの話。

アークメイジはおかしい、あり得ない、存在するわけがないと騒ぎ始めるが、彼は穏やかにまだしばらくは持つとだけ正直に答え、仕方なく焦りを募らせた。
直後、女のアークメイジを先に手篭にしようと知恵をつけたゴブリンが彼の頭上を飛び越えようとするが、彼もさせじと腹を掻っ捌いて切り落とし、横をすり抜けようとすれば投げナイフで目から頭部を潰して止めた。
目潰しも一撃必殺になり得ると分かったが、次に使えるかはアークメイジにかかっていた。
霞を掴むような謎に立ち向かっているアークメイジは、全ては数字の羅列であり解き明かせないはずがないと言い聞かせながら、ついに解明に成功した。
影、頂点、線、面、導き出した答えは五つの頂点に五つの胞。

靄が形を変えると扉が開かれ、彼はゴブリンの相手を止めて走り出し、扉が閉められるのか確認するとアークメイジを担いで駆け抜けた。
雑に運ばれたアークメイジはぶつくさ文句を言いながらも、扉を抜けると指をスッと動かして要望通りに扉を閉めた。
再び靄に変わり、ゴブリンはしつこく飛び込んで来ようとするが、アークメイジの赤い小さな舌を見れた代わりに片腕を失ったのだった。

扉の先は塔らしく、どこまでも続いていそうな螺旋階段が伸びていた。
あれは何だったのか、アークメイジの説明を聞いてもまともに理解できそうもないが、問題はゴブリンにもあの扉が開けられるのかどうか。
不可能ではないが、天文学的な確率で偶然が積み重なった結果、正解に辿り着くかも知れないという程度の可能性しかなく、実質無理と言えた。
もう一つの問題は、この先にもゴブリンがいるかどうか。
アークメイジが分かるのは、影のようにどこからともなく現れる奴らについて断言などできないことだった。

とにかく彼は、ゴブリン対策を最優先に考えるのを変えなかった。
































