純白の美少女殺人鬼
もっと殺人鬼らしくほくそ笑むのを予想していたアラタはまさかの反応に驚き、無邪気な笑顔に取り込まれた。
喜びの絶頂にいるのか、今の真珠は今までのアラタの嘘をあえて受け入れ、笑い飛ばすほど寛容だった。

急に無邪気な子供みたく振舞う真珠との新婚生活が意外にほのぼの悪くなさそうだと夢想した直後、真珠は24時間で何をするかの回答を求めた。
アラタは満を持した感じで、井出の受け売りのお互いの絵を描くと答えた。
真珠はまずアラタ一人で考えたのか怪しんだが、息を吸うような嘘にあえて口を挟まなかった。
そして、自分の考えは娑婆に出た時に話すといい、今はまだ秘密にした。

ここを出ることなどあり得ないと胸に秘めるアラタだが、真珠は早くも結婚生活をありありと夢想し、二畳分のスペースで大人しく過ごし、自由を侵害せず、質素な飯で十分、金もかからないと経済的安価アピールをし出した。
まるでペット感覚な物言いに苦言を呈すアラタだが、相手の毒にも薬にもならないことが最善だと思っている真珠は、望むなら人殺しだって手伝うとぶっちゃけてしまう。

結婚生活において多くを望まない、要求しない、最低限の場所と食事で十分。
それは人生を共に歩むという思いを完全にスルーし、責任を一切放棄したまさにペット感覚であり、アラタが一番苦手なタイプ。
人殺しを手伝うというのも、本来は止めるべき場面で止めを刺しに行けるそのメンタルは、嬉しくもあり破滅するなら一緒にという宣言で、ある意味一途で究極に重い女だった。

ともあれアラタは宮前を伴い、役所に婚姻届を提出して本当に真珠と夫婦になった。
まず卓斗に、その足で沙菜にも結婚したことを報告し、あくまで形だけでタイプでもなんでもないと言い含めた。
ついでにストーキングされているかも知れない沙菜を家まで送り、仕方なく玄関まで上がらせてもらうと、彼女は兄の遺品を出汁に一気に隙が多い部屋着色仕掛けアピールをし始めた。

意図が分かってしまうアラタはどうも辟易とし、ありがたくお暇を告げた。
せめて新婚初夜くらいはという、新妻への想い故だった。
結婚を報告された桃ちゃんは先を越されて悔しがるが、アラタはそれどころではなかった。
稼ぎが夫婦の共有財産になってしまうのだから、できるだけ早く遺体の情報を訊き出して離婚して被害を少なく抑えたいのに、真珠は夫を手玉に取って楽しんでいるのか、控訴審で話すから見に来てと、ライブに誘うようにするりと躱してくる。
だからアラタも法定マニアに大人気の品川ピエロ事件の抽選を何とかゲットし、傍聴席に座って何を話すのか待つことに。
そしてデブで汚い歯抜け女見たさに座っていたマニアたちは、まさか純白ワンピースの美少女が現れるとは思っておらず、度肝を抜かれた。

更に結婚して姓が品川から夏目に変わったことで、どよめきが起こった。
こうして真珠が印象を180度変えてから、控訴審裁判が始まった。
弁護人と検察のなんてことはないやり取りの後、真珠はまるで悲劇のヒロインかのように振舞い、一瞬で好奇心だけでこの場にいる男たちの心を揺らした。
夫の存在を明かし、守り守られ、愛し愛される可憐な妻の顔を見せる真珠の色々な顔を見てきたアラタは、確かに特定の誰かを待っているはずだと感じた。

感想
夏目アラタの結婚3巻でした。
面白度☆8 メンタル度☆8
心理戦が延々と続き、いよいよ悲しみの中にいる遺族が恋愛事に絡んできましたが、ガチ恋なのか犯人への復讐なのかは判然とせず。
真珠にもまだ明かしていない思惑があるようですし、新たな重要人物が出てきそうな気配がします。
https://www.kuroneko0920.com/archives/74222
































