106話107話
シマビトたちを遠ざけた若林は向けていた指を下ろすとホッと一息吐き、高崎たちの方を振り返った。
ただ二人は感動の再会を素直に喜ぶほど、そこまで熱くなってはいなかった。

しかし教師として大人として教え子の無事が分かった若林は涙が溢れ出て二人を抱きしめた。
二人は恥ずかしいやらウザったいやらだが、ただのクズと思われていたらしいと分かると一気に冷めた。
ともあれ今はゆっくり感傷に浸っている暇はなく、佐々木と豊橋も連れて逃げようと赤城が急かすと、高崎は嫁にした件について興味を抱く。
すると若林はこんな状況でも社会的立場的なものが心配になり、しどろもどろになってしまう。

まだヤリはしていないものの、とんでもない欲情を抱いて激しい手コキで治めようとしたのは間違いない事実。
その辺りにことを根掘り葉掘り聞かれたくなくてまごついているうちに、インゴの名を持つ二人に見つかってしまう。

若林は愛想笑いで二人はガモウがつけてくれたコジュウだと誤魔化そうとするが、ザコ呼ばわりされた高崎はあっさり煽りに乗り、メンチを切り返した。
赤城は冷静に争うことなくこの場を切り抜けたかったが、高崎はもう手遅れなのが分かっていた。
トラチヨとカツチヨが二人きりで行動するはずもなく、既に手下に囲まれていた。
傍の家の二階の窓から覗いていた佐々木と豊橋は、赤城と高崎の登場に生きて帰れる希望を見出すが、状況は一触即発に変わろうとしていた。

若林はもう一回、コジュウだと説明して切り抜けようとするが、インゴ二人はその言い訳に吹き出し、ザコ二人はオメグミで元々の知り合いだろうと見抜いた。
ツワモノと呼ばれようが若林はまだルーキーであり、コジュウをつけてもらえるような立場ではなかった。

だからまた取ってつけたようにイヤッコだと誤魔化し二転三転し、イヤッコでも辻褄が合わないことがすぐ自覚できてしまう。
そうしてうだうだやっていると、シマビトの一人が高崎に殴りかかってきた。
もう言い訳しようもなく戦う覚悟ができている高崎は、軽くいなすと足払いで転ばせたところに膝蹴りを顔面にぶち込み、口だけじゃないことを見せつけた。

赤城も戦闘モードに入り、捕まったり殺された同級生たちのためにも負けられないと宣言した。
しかし、教え子二人が覚悟を決めているというのに、若林は少なからず島に認められた住人になっているせいで、戦おうという気持ちが揺らいでいた。










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