月夜に浮かぶ女体
日々のしごきで精悍になっていった幸乃助は、熊本城にて大久保利通内務卿と再会した。
大久保は西郷が準備している軍隊の情報を明かし、だからこそ愛洲家の正当な跡取りである幸乃助に血生臭い戦場から身を引くよう説得するが、沙夜が生きる意味になっている彼は穏やかに華族の自分は死んだと返した。
だから、何をやっても誰より優秀にこなす青山に一目置き、ボコボコにされたことなど気にせずに声をかけ、個人的に訓練して欲しいと頼んだ。
しかし青山はほだされることなく、何度でも敵意を剥き出して断るだけだった。

そんな折、青山が夜な夜な抜け出して何かをしているらしいことを知り、幸乃助は秘密特訓が優秀さの秘密だと信じ、尾行した。
辿り着いたのは防風林を抜けた先の浜辺、そこで水浴びしている青山の身体は美しく引き締まった女体だった。

すると青山は幸乃助に圧し掛かり、知られたなら殺すしかないと喚きながら首を絞めた。
青山はろくでなしの父親、愛想をつかして出て行った母親の元に生まれ、小さな頃から自分で食べ物をちょろまかして生きていた。
しかも父親は皮肉にも色っぽく美しく育っていく娘に欲情し、無理やり犯すような鬼畜外道だった。
それでも憎しみを糧に生き、見様見真似で体術を修めた青山は犯してくる父を油断させ、今までの恨み辛み全てをぶつけて殺した。

しかし女一人ではまともな仕事にありつけず、途方に暮れていたある時、兵役につきたくなくて困り果てている男と偶然の出会いを果たし、そいつに成り代わって入隊したのだった。
そんな激動の半生を聞かされた幸乃助は、正体は誰にも明かさない代わりに稽古をつけて欲しいと土下座で頼んだ。
男はゲスく身体を求めるとばかり思っていた青山は、クズとは程遠いバカさ加減に呆れて殺意もなくなり、折れる形で頼みを受け入れたのだった。

その頃、剣術の指南役として西郷のところに身を寄せた沙夜は、泣く子も黙る首斬り家の実力を見せつけて早くも恐れられていた。
しかし人斬り半次郎と新選組にも恐れられた示現流の使い手、前野利秋は腕試しとばかりに真剣での勝負を挑んだ。
受けたら終わりと言われる示現流の初太刀、沙夜はそれを人並外れた動体視力で刃より硬い鈨で受けて逆に折ってやった。
ただ沙夜は桐野に止めを刺さなかった。

そして完全な敗北と屈辱を与えられた桐野は喜びも感じ、沙夜にベタ惚れしてしまう。
まさか男女のロマンスが生まれて殺伐とした空気が少し和らいだのも束の間、政府が弾薬庫の火薬を大坂に移そうとしているのを知った一部の士族が激昂し、元は自分たちの物資だとして強奪作戦を企てた。
そして発破をかけられた西郷が挙兵を決意すると、無実の罪で父が切腹に追い込まれたのを知った沙夜も参戦を決め、熊本城への進軍を開始した。
そんな時、青山は幸乃助に淡い想いを抱き始めていた…

感想
首を斬らねば分かるまい4巻でした。
面白度☆8 激動度☆9
組織が大きくなり、それが国を統べるものともなると、どうしても私利私欲にまみれてしまうのはいつの世も変わりませんね。
晴美が酷い目に遭わなかったことだけが今のところ救いですし、青山のデレ加減が強烈に可愛かったです。
https://www.kuroneko0920.com/archives/74287



































