34話
資産家の一人息子と結婚歴があり、新婚数カ月で夫が亡くなり、しかし遺産目当ての殺人を疑われたくない詩織は相続を放棄。
果たして、詩織の過去に嘘はあるのか。
涙ながらの告白を聞き終えた優奈は、優しく寄り添った。

ただその優しさは重大なことに気づいたから、一先ず取った態度に過ぎず、すぐに交換条件でどんなお願いを聞けばいいのかと促した。
涙を止めて落ち着きを取り戻した詩織はそうだったと思い出し、それなら全員で一つのお願いを聞いてくれればいいと切り出し、おもむろに立ち上がるとキッチンに立ち、包丁を握った。
スッと緊張感が漂うが、詩織は酔っててもできるような簡単なので、特別な料理を食べて欲しいという。
条件を飲んだ以上、優奈たちに拒否権はないが、いくらでも毒を入れられるのだから緊張は解けなかった。

程なく詩織が運んできたのは、飲んだ締めにありがたいお茶漬けだった。
特に凄い料理でもないお手軽の筆頭格みたいなものだが、詩織にとってこれは、夫が好きだったことで特別な一品だという。
それなら納得しちゃう優奈は、口に含むまで一服盛られている可能性にビクビクしたが、いざ味わうと優しいという抽象的な感想が出てしまう何とも言えない優しい味わいにハッとする。
その言葉を夫からももらっていた詩織は、もう一回涙を流した。

五十嵐もバクバク食べ、同じく涙を滲ませてキャラ設定にない雰囲気まで滲ませてしまう。
ともあれ本当に飲んだ後には嬉しい一品なのを思い知ったところで、無礼講の飲み会はお開きになった。
さっそく優奈と五十嵐はお互いに気づいたところを話し合い始めたのだが、彼はどこまで単純なのか、優しいお茶漬けを作れるのだから凶悪犯のはずがないと詩織をシロに位置付けた。
論理的さゼロのバカな意見にイラつく優奈は、一人で好きに考えて結婚相手を考えればいいと言ってやるが、まだ五十嵐にも他人の意見を聞く頭は残っていた。
優奈が気づいたことは、まず矛盾する発言をしたのが二人、味方になりそうなのが一人、詐欺常習犯が誰なのか。
発言の矛盾が分かったのは、初日の自己紹介の時、サキは芸能関係だと言ったが飲み会では探偵と言ったのが明らかな矛盾で、誰でも気づけるこれはわざととも思える。

更に弓月は経験人数を6人と明かしたが、プライベートの人数なら確かに6人で合うが素人AVの経験を加算すると6人では収まらなくなる。
ただこれは、勘違いやプライベートのみの換算という恥じらいのせいかもしれない。

そこで優奈は、サキこそが味方になってくれそうな一人だと考えた。
二人の人間が発言の矛盾を抱えたことを踏まえると、自ずと詐欺常習犯が誰なのかも導き出せるという。
それは今のところ黒いところが見当たらない詩織ではなく、味方になり得るサキが詐欺犯だという。




































