38話
優奈は弓月を純白の花嫁に選び、詩織を殺人犯と見越した。
正確に言えば希望的観測、強いて言えばどちらが信頼できるか、したいかと考えて弓月を善人だと思いたいと行き着いたのは、ライバルだとしても友達になれたと思えたからだった。
それに、弓月なら万が一でも勝てそうなのもあった。

するとサキは、なら自分が弓月と二人で助けを呼びに行くと言い出した。
優奈が信頼できると言ったのだから安全な方を選ばせてもらうのは当然、それにサキも弓月なら争っても勝てると踏んでいたし、やはり詩織に得体の知れなさを感じていた。
最善は優奈と二人で下山してそのまま結婚してもらうことだが、多大な借金がある優奈にその選択肢はないし、殺人犯を残していけば花嫁候補と五十嵐の二人ともどんな目に遭わされるか分からない。
ということで優奈が残り、サキが弓月と助けを呼びに行くと結論が出た。

もちろん弓月と詩織には何も言わず、組み合わせだけ告げて二人は出発した。
残された詩織が何も物申さなかったのは、どちらにするか話し合っている時間がもったいないと感じたからで、こんな状況でも今まで通りのすまし顔で冷静さを保っていた。
その態度にさえ優奈が不気味さを感じていると、詩織は最後に優奈と話したかったからちょうどいいという。

これが間違いなくタマロワ最後の課題で、後は五十嵐の決断に委ねるだけだと達観している風だが、どうも優奈と彼との協力関係に気づいているようでもあった。
そんなことを匂わせてから、彼を本気で愛しているかと訊ねた。
タマロワで勝ちたいからでなく、心から彼を愛しているかどうか訊ねるその意図は、彼が寝言で愛おしそうに優奈の名前を呼んでいたのを聞いたからで、もう彼の結論は出ているのではと察したという。
だから詩織は、もう諦めの境地で優奈となら応援すると言い出した。

急に友達の恋に世話を焼くJKみたいになり出した詩織は、このゲームを通して優奈の人格を知ったからこそ人として好きになり、祝福できる気持ちにもなったという。
ただ、それは相思相愛であることも重要。
まさかここで背中を後押しされると思っていなかった優奈は、弓月が殺人犯の可能性が高まって違う緊張を感じ始めた。
どれくらいの時間が経ったのか、無防備に眠る訳にはいかない中、緊張で疲労感が募ってきたその時、戻ってきた弓月の声が聞こえた。
しかし彼女一人だけ、薄汚れた弓月はサキとはぐれて仕方なく戻ってきたと言い出すのだった。




































