セリーヌが立ちはだかっている隙にアルクに逃げられたナイルは、また男尊女卑な台詞を吐き出して煽るが、何を言われようと彼女は実力で叩き伏せて思い知らせてやるつもりだった。
セリーヌは凄まじくほとばしる覇山流の剣気を披露し、怖気づかせようとしたかったが、ゲス眼鏡は柔よく剛を制して返り討ちにしてやろうと考えた。

多くの犠牲を払いながら脱兎の如く逃げていたアルクは、またしても待ち伏せていた敵に足止めを食らってしまった。
茂みから飛び出してきたのは豪奢な槍を装備するイスティシアの槍部隊で、不意を突かれたアルクも馬上から叩き落とされてしまう。
そして転がった先にいたのは、皇太子と結婚したくないカイメイアだった。

ダメージを負ったアルクは剣を握るのでも精一杯、不意を突かれた近衛兵たちはほぼ全滅。
華奢なワニ女にも簡単に組み伏せられたアルクの首に、鋭い槍の穂先が突き立てられようとする。
かに見えたその時、ジョアンナの水の刃がカイメイアをぶっとばし、空を舞う魔法処女がアルクを抱きかかえてスピードを上げていく。

しかし大してダメージのなかったカイメイアは素早く槍を投げて魔女を撃ち落とそうとするが、大木が盾になって九死に一生を得た。
大木が吹き飛ぶほどの槍投げを食らっては肉片になること必至だったが、ともあれアルクは仲間たちのおかげで生きて敗走と相成った。
レプタイル戦役、赤草平原の戦い。
イスティシア、エンシュウ、ガースルの連合軍に為すすべなく完敗したナーガラの領主アルクは、まさに敗残の将になってしまった。

ナーガラ城に逃げ帰ったアルクたちは、次の戦に備えて練兵に勤しませた。
ネーゲリたち有能な将校を失い人的大損害を被っても、えいやえいやと槍の修練に励む兵士たち。
アルクは負ければ自分たちの家が焼かれるのだと脅し、鼓舞し、危機感を植え付けていく。

しかし領民らはそんなこと言われてもという感じで、特にアルクへの絶対の忠誠があるわけでもなく、既に逃げ出すものも少なくなかった。
アルクもそれは、分からないではなかった。
































