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207話

桐生正臣が連れていた車いすの少女がすっくと立ちあがると、彼は跪いてマイレディと恭しく言葉をかけた。

 

すると娘のはずの彼女は父親を名前で呼び、恋人のように頬を染めて手を差し出した。

サタノファニ
著者名:山田恵庸 引用元:ヤングマガジン2022年29号

 

 

霧生は懐から髪留めを取り出して渡すと、彼女も主君のような言葉遣いのまま受け取り、パチンと留めていく。

 

意味が分からない秘書がこのマーダーモデルは一体誰なのかと疑問をぶつけた直後、桐生の娘はフラッと意識を無くしてしまった。

 

 

瑠璃子。

 

それが娘の名前で桐生の娘で間違いなく、メデューサ計画は病気の娘を救うために生み出した業深き技術だが、人類の進化に寄与するという名目で進められていた。

 

何人もの罪なき女の子の人生を狂わせ命を奪い奪わせることになった発端は、桐生が大学生の時に一人の少女と出会ったことだった。

 

 

 

大企業のボンボン三男でしかなかった桐生がパーティーで出会ったその少女こそ瑠璃子という名前の生まれながらの天才であり、あらゆる方面で如何なく才能を発揮していた。

サタノファニ
著者名:山田恵庸 引用元:ヤングマガジン2022年29号

 

 

能力的に教えられる立場でもなかったが家庭教師に指名された桐生は、人類の進化には多くの知性を結集させた集合知に頼るよりも、突出した個に更にあらゆる才能を加えた総合的天才が必要だと考えていた。

 

セーラー服が似合うあどけない瑠璃子にある日、なぜ家庭教師に選んだのか訊いてみると、天才らしく少し年上だからとて敬語など使わないっぽい喋り方の彼女は、一つの強さを感じ、連れ出してくれそうだからだと答えた。

 

その答えに憧れや好意が含まれていたのかどうか、ともあれ年相応の可愛らしさで頼られた彼は、いずれ世界の宝になるだろう天才に仕える喜びを感じて、その時も膝をついたのだった。

サタノファニ
著者名:山田恵庸 引用元:ヤングマガジン2022年29号

 

 

それから瑠璃子に見合う男になろうと桐生も努力を欠かさなかったが、まだあどけない少女のまま、彼女は救いようのない変態殺人鬼に殺されてしまう。

 

 

加害者・犯罪者に甘すぎる日本の司法の犠牲になったとも言えるあまりに不幸な被害者の一人に瑠璃子がなったことで、桐生はシリアルキラーはなぜ人を殺すのか?という疑問を抱き、研究を始めてメデューサ計画に発展していった。

 

その目的は瑠璃子を生き返らせること、娘の心の病を治すことだった。

 

 

 

至極個人的な願いで殺人鬼を生み出す悪魔になった桐生はこんな夜、激しいトレーニングで汗を流すのだが、そうすれば血が巡るからか年甲斐もなくチン〇がそそり立った。

サタノファニ
著者名:山田恵庸 引用元:ヤングマガジン2022年29号

 

 

だから拘束したジジイの部屋に赴き、そいつの話を肴に飲みながら一発抜くのが習慣になっていた。

 

 

身動きを封じられ、点滴を注がれ、明らかに先が短い老いさらばえたジジイを飼っているのは、そいつが瑠璃子を殺した犯人だからだった。

 

秘密裡に捕らえ、薬でキメて犯行時のことを話させてオカズにするという、ロ〇コン殺人鬼もドン引きの瑠璃子狂い〇リコン野郎。

サタノファニ
著者名:山田恵庸 引用元:ヤングマガジン2022年29号

 

 

その最高に抜ける話なら鉄砲魚みたいに射精できる桐生は、ようやく瑠璃子が蘇ったことで、これから他の天才の人格を我が娘に刷り込んでいくつもりだった。

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