216話
霧子と瀬里がしげおを始末しようとした一方、個別にマークされてない団員は病院長でしげおの母である美津子に食事に招かれていた。
美津子ももちろん常連客で何かと劇団に援助もしているのか、座長を始めご機嫌取りも欠かさない。

しかしやはり病院長だろうと我が子はどうしても良く見えてしまうようで、ゲスで鬼畜なしげおの裏の顔など露知らず、優しいあの子にそろそろ後を継がせたいなんて言うものだから、結実は複雑な表情を出してしまい、夢乃丞はそれを見逃さず、そつなく美津子におべっかを使う。
そして美津子は高そうな食事だけでなく、立派な着物までプレゼントに用意しており、この場にいない冬雪の分まであったのだが、贔屓は責められないが男への分しかないようだった。
その頃、冬雪とサシで会っていた美依那は舞台で激しい斬り合いを演じていた。
まさに舞うように動きも剣も優雅に動かし、芸術のような美しい斬り合い。

そんな動きだから殺し合いではなく二人だからできる剣戟で、美依那も動きを体が覚えていたから難なくこなせたことだった。
それに感心するしかない冬雪は、もう未練がないという美依那の言葉の嘘を指摘し、どこの劇団に所属していたかもうバレていることを伝えたのだった。

言い当てられた美依那は動揺と同時に元演劇者として嬉しさを感じ、このまま勢いに乗ってメデューサだと明かし、仲間に引き入れたい考えも伝えることにした。
その相手は十中八九メデューサで間違いない、姉の遥香だと。
その遥香は千歌と小夜子と居酒屋で気持ち良く酒を流し込んでいた。
おひねりを貰えたことが本当に嬉しい遥香は楽しそうにしているが、メデューサ二人は彼女を一番怪しいと睨み、確信を得るために気を張っていた。
まさか情報収集で近づかれているなんて思ってない遥香は、全国には結構な数の劇団と団員がいて、やはり男社会で認められるのはパワフルさも色気も出せる男ばかりだから、応援されたことを本当に喜ぶので、千歌もさすがに良心に呵責を覚える。

とにかく上機嫌な遥香は大衆演劇生活について、ペラペラ喋ってくれる。
毎月のように引っ越し、団員達だけで引っ越し作業、転校の連続だったし午後から仕事で放課後というのを体験したことがなく同年代がする経験に縁はなかったが、知らなければ寂しさを感じる考えも浮かばなかったという。
ともあれ遥香は、大衆演劇の家に生まれて今でも楽しみを見出しているし、千歌との出会いもそう思っていた。
遥香がメデューサ症候群だと明かした美依那は、死体を隠していることも知っているし、いずれ自分の劇団のように露見して破綻することになる、それで冬雪の才能を潰すのは惜しいと伝えた。

しかしまだ何も確定していないのに、全てを明かしたのはあまりに早計だった。
千歌たちがさり気なく訊き出したところ、遥香は東犀病院を忌避して行きつけにしておらず、通っているのは弟の冬雪だと分かったのだった。
































