〇イプ事件と山火事と惨殺と
ミッチーと千護が会ったのは半年前の冬だった。
ミッチーはあれから15年、妖館を見つけるために秘密基地がある山林に踏み込んでいて、その日も入っていたのだが、夜になってキャンプしていると、見知らぬ若い女と鉢合わせ、暖を取らせてあげているところに千護も現れた。
ミッチーはもちろん、二人も妖館を探していたのだが、千護は誰かを殺したい恨みではなく霊能者としての興味本位。
岡田貴美と名乗った若い女は、レイ〇された親友がいて、あいつらを殺したいと語り出した。

篤い友情の復讐代行のように聞こえたが、端々の言葉の違和感を千護は聞き逃さず、またこの世ならざるものが見える確かに見える本物の霊能者は、岡田こそが知人の男に親友をレイ〇させた黒幕だと見抜いて指摘したのだが、岡田はその男との仲間割れで自分が一番の被害者ぶる、救いようのないドクズだったのだ。
そんな風に出会ったミッチーと千護は後に、岡田と実行犯の男が立て続けに不運な死を遂げていることを知った。
レイ〇が元で心身に重症を負った被害者を見つけるのは難しくなく、訪ねたミッチーは彼女が妖館に二人の名前を書いたと察するのは簡単だった。
ただこんな復讐はそれほど珍しくないらしく、千護の見立てでは月に数人は妖館に辿り着いているという。
今も変わらぬ友情を抱いているミッチーは、サトキンの代わりの復讐として妖館を潰すつもりだった。

と言うことで後日、急用の千護を除いた4人で秘密基地がある山に踏み込んだ。
月に数人は妖館に辿り着いているというのにミッチーが15年も空振りなのは、強い殺意を孕むほどの憎しみを抱いる者にしか姿を現さないから。
そう結論付けたミッチーはその資格を持った人間を見つけて、乗っからせてもらう作戦でずっと空振ってきたのだ。
だから如何にも怪しい登山者を見つけても鬱陶しがられるか逃げられるかで、気安く接してくるのは肝試し感覚の若者くらいなのだが、それよりもタッツーはミッチーとキヨの距離感に早くもモヤつき始めた。

本番は夜、葉擦れの音も不気味な森の中の闇で頼りになるのは、焚火と旧友の存在だけ。
ここでもタッツーは不必要にミッチーにイチャモンをつけて空気を悪くするが、大きな態度でイキるのは不安の裏返しだと酒を煽りながら弱音を吐いた直後、彼らの前に今は呪いよりも恐ろしい巨獣が現れた。

しかもただのツキノワグマではない、まるでもののけ姫の猩々のように人への嫌悪を示してくる。
それに呼応するかのようにわらわらと出てくる、邪悪なコロポックルのような何か。
その時、タイミング良く現れた千護が怨みにまみれているクマを霊能力攻撃で追い払ってくれなければ、彼らはバカな獣害被害者になるところだった。
千護が怨人と呼ぶダークコロポックルは、この森や館に関わった人々の憎しみが具現化したような存在。

皮肉にもその怨人が館や恨まれている人間に導いてくれる案内役となるのだが、次に起こったのは山火事と迷惑若者グループが無残に殺された事件だった。
クマではなく破壊力抜群の刃物でやられたような傷痕。
それをやった犯人は、昼間に一人でいるのを見かけた軽装の怪しい女だった。

岡田貴美が黒幕とされるレイ〇事件に無関係ではない、イカレタ斧女。
偶然にも同じ日にいただけで殺された、迷惑だが殺される程じゃない若者たち。
クマと火事と猟奇殺人とで大パニックの中、多くの恨み憎しみが集った結果、かつて少年だった彼らの前に噂の妖館が全容を現した…
感想
ラクガキ-呪いの館-1巻でした。
面白度☆8 無残度☆9
義母と若者たちも、少しは褒められない一面もあったでしょうけど、あんなに悲惨で短い人生にされるほどじゃないでしょうに。
モンキーピークとはかなり様相が違いますが、人の憎しみが根幹にあるのは同じで、読み応え十分ですし、霊能者はベテラン登山家兄妹ポジションな気がします。
「ラクガキ-呪いの館-」ネタバレ最新2巻。好意と嫉妬と理不尽な狂気!身勝手の連鎖で起こされた歴史に残る大凶行!



































