231話
催眠にかかり、レッツダンスした後に首を吊らされたチンピラたち。
誰も逆らえずにウインチに引っ掛けられ、キリキリと足が床から浮き上がっていく。
冬雪が優雅な締めポーズをキメて終わったかに見えた直後、しげおだけ強制首つりから抜け出した。
身体の強さは伊達じゃないしげおは、柔道経験のおかげですぐ気を失わずに済み、あまりの苦痛で正気を取り戻して忍ばせていたナイフで綱を切り裂いたのだ。
殺されかけるまで逆に追い詰められたしげおは冬雪の利用価値を諦め、本気でヤリにいった。

その頃の遥香は、激しい男尊女卑思考の持ち主でもある鞍馬にボコボコに殴られ、顔の形を変えられそうになっていた。
時代や職業など関係なく男に生まれただけで女を見下せる真性の差別者だが、遥香もそこまでか弱い女性ではなく、掴まされたはした金を燃やしてクズの顔面に押し付けてやると、自分の不平不満だけ吐き散らすドクズの股間を蹴り上げた。
尻側から蹴り上げられたクズはもう戦意も何もかも一発で奪われ、バカにした女の恨み辛みで返されていく。

毒親の元に生まれた子供の何と不憫なことが分かる、憎しみの攻撃だった。
殴られた怒りと家への憎しみをクズにぶつけて少し気を落ち着けた遥香は、美依那が両親を始末する前に間に合い、冬雪が舞台にしげおたちといることを伝えた。
すぐさま美依那が駆けつけて見た光景は、チンピラたちが無残にぶら下がっていてしげおだけ身動きできない不気味な光景と、大量出血して倒れていても絵になる冬雪の姿だった。

まだ息があり受け答えもしっかりできているが、出血元は左胸で明らかに心臓が傷つけられており、もはや何分も持たないだろう深さだった。
もうどうしようもない美依那は傷口を押さえながら謝るしかないが、覚悟をしている冬雪の方が穏やかにただ罰が下っただけだと返す。

それでも願わくば美依那と旅がしたかったと望みを明かすので、彼女も同じだと答えて最期の時を明るく彩ろうとする。
しかし感情が溢れて涙が零れてしまうと、まだ役者としての顔が抜けない冬雪がそれを窘め、最期に優しさを与えて逝こうとする。
最後の暗示、それは美依那の幸せを願う優しくも残酷な言葉。
それで哀しみの動揺を少し制御できた美依那は、その優しさはありがたく受け取りつつもお返しに友情を示して美しさへの誇りを賞賛した。

少しの間だけでも同じ舞台に立てたのは、掛け値なしに楽しい時間だった。



































