ぼくらの夏が裂けていく2巻
樹は誰に殴り倒されたのか?
無事だったみんなの声で目を覚ますと、繭結も服を着せられて事無きを得たようだが、新たな謎と闇が深まっただけだった。
モンスター老婆は消え、おどろおどろしい雰囲気もなくなり、沈鬱だが穏やかな下山の時間。
できれば警察を頼りたいが、また歪な島のルールでそれは許されず、まず自警団に報告しないといけない決まりになっていて、だから犯罪件数0という信用ならないデータが積み重なっていた。
更に静香の親兄弟の死体が痕跡もなく消えていた。

イカれた島ルール、怪力口裂けモンスター、消えた死体と静香、謎の襲撃者。
繭結の声は幻聴だったのか、せめてモンスターでないことを、ならないことを祈るばかり。

島に染まっている親に繭結を任せられず、学校に連れていくことにした樹。
学校では既に数日後の祝詞祭りの準備が進んでおり、夏の風物詩らしい賑やかな空気が漂い始めているが、教室に入ってすぐ、樹は改めてまもとなのは自分や仲間だけなんだと思い知った。
島の南北のどちらに住んでいるか、それだけで優劣をつけて徹底的に迫害する時代錯誤で異常な根性、それは若年層にこそ染みついているようで、出戻りの樹への当たりはより顕著だった。

胸糞悪さと島の不憫さが露わになった直後、移住してきて間もない担任に呼び出された。
島に染まってない分、島が異常だと理解できる存在は樹にはとてもありがたかった。

そうしてホッとしたのも束の間、槇原と南民の間で言い争いが起こった。
どう判断しても南民の暴言が悪いが、教師陣も徹底的な北民差別主義が染みついており、この大人にして子供ありの洗脳教育が受け継がれている様が披露された。
同じ島民同士で民族戦争でもしているかのような、優劣思想。
その後で祝詞祭りの踊りの練習が始まると、薄ら寒い歌詞の数々が響き渡って程なく、見学していた繭結が怯え始めた。

その反応は口裂け静香に遭遇したあの夜と同じく恐怖に震えているようで、つまり笠冠で顔を隠した生徒の中に口裂けが紛れ込んでいるのを感じ取ったのか。
帰りにそのことを樹がみんなに話すと、謙介は急にバレバレの嘘で学校に慌てて戻った。
他よりも異常事態や静香について情報を持っている様子の謙介は、サッカー部のとある部員のロッカーを開け、怪しい箱があるのに気づいた直後、口裂けモンスターに襲われた。

































