
サタノファニ273話274話275話
ネタバレ感想
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五菱の、桐生正臣の世紀の大悪事が世間に晒されて、メデューサの無罪がまずは一つ確定した矢先、彼女らの前に正臣の父であるヒゲ爺が姿を見せたのだった…
273話
巨躯のシェフを伴って現れたヒゲ爺。
刑務所内でも健やかに過ごせていたメデューサにとって水を差される存在で、一気に緊張感が走った。
そして千歌だけが、巨躯のシェフが知る人ぞ知るパティシエだと気づいてテンションが爆上がり、緊張感が一気に解けて仲間たちを少しイラつかせた。

ともあれ千歌が巣のままで戦闘態勢に入らないことが、ヒゲ爺たちに敵意がないことの一定の証拠でもあった。
一先ずアフタヌーンティーパーティーとしゃれ込むことになって席に着き、鮮やかなお菓子が供されると共に、ヒゲ爺がいけしゃあしゃあと切り出した。
主犯は息子の正臣だとしても、ヒゲ爺も十分に何が行われてきたか把握して、害のないフリで観察していた深い関係者には違いない。
カチュアの義手も五菱製とあらば素直に喜べないし、影ながらのサポートだと恩着せがましく言われると、復讐してやりたくなってくる。
その怒りは銘々で抑えるとして、ヒゲ爺は息子の居場所を掴んだという。

桐生は現在、空母三隻分ほどの甲板に街を作った巨船でアフリカ沖にいた。
乗り込んでいるのは世界の大富豪っぽい人間たちで、桐生が稀代の極悪人だと知らないはずがないのに、パーティー会場でにこやかに接していることから、似たり寄ったりなクズ共だと察せられる。
日本の捜査網から抜け出した海上で何をしているのか、皮肉かただ有名だからか、客船沈没映画を流して終わりかけのタイミングで、瑠璃子が舞台に上がって口上を垂れ始めた。
作り物、演技しているだけの俳優、そう知っているのに人はなぜ涙を流すのか?

それはミラーニューロンという神経細胞の脳内再現機能のせいであり、他者の感情や記憶を取り込めるからだという。
そんな講釈を垂れる瑠璃子は、資本家業界で崇拝されるような存在だった。
ミラーニューロンにより、一早く人類の一つ上の存在に至った瑠璃子。
それに続こうと浅ましく極悪人の甘言に乗った富豪たち。

瑠璃子は天才たちを取り込んだとしても、その他大勢の浅ましい人間たちが殺人鬼を刷り込まれない保障などあるのか。
ヒゲ爺が居所を掴めたのは糸目の秘書がスパイだからだった。
息子がメデューサ製造を世界に広げたことを知ったヒゲ爺は本当に恥ずかしげもなく、孫娘を救ってほしいと被害者たちに頼み込んだのだった。
そう、瑠璃子もまた千歌たちが救いたいと願った被害者の一人だった。
傍から見れば瑠璃子も元凶の一人でしかないが、父親のおぞましい欲望に人生を奪われた可哀想な女の子。
本来の名前は栞といい、幼いときは笑顔が素敵な明るい子だった。

正臣は上に二人の兄がいたが連続するように亡くなり、正臣が会社を継いでヒゲ爺が隠居して数年ぶりに孫娘に会ったらびっくり仰天、すっかり笑顔を失っていたどころか、妙なことを口走った。
私は私じゃなく瑠璃子になるんだと。
孫娘の言葉を強く気に留めていれば、息子の稀代の凶行は止められたかも知れなかった…