273話
諸々のヒントを合算いて導き出した国母の正体。
それは部屋の扉の蝙蝠の紋章から始まり、歯無しのルーミを怖がり、乙女たちの血を浴びる魔女らしさ。
これは吸血鬼だろうと思っていたがところがどっこい、歯無しのルーミを怖がる反応で分かったのは、野衾という日本の妖怪で、各種ヒントとも合致する。

彼のモンスター知識が和洋折衷でかなり深いのはさて置き、お歯黒の黒さ加減が歯無しの闇空間と似通っているから恐れたと思われる。
そう彼は確信し、お歯黒状態で噛みつけばダメージを与えられるとも思うものの、こんなところに歯を黒く出来そうなものなんて見当たらず、それを悠長に仕込んでいる暇もない。
その通りで、ルーミがうつ伏せになって歯無し顔が見えなくなったら、また元気になった国母は一気呵成に攻撃を仕掛け、強い剣道少年でしかない彼はあっさりボコられるだけ。

壁が粉砕される破壊力で押し潰されて原型を保っているだけ奇跡、そんな瀕死の中でもどうにかお歯黒にできないかと考えを巡らせていく。
自分からドクドク流れる血液という鉄分、それで無理なら炭か何かを擦り込めないか。
もちろん炭なんて持って来てないが、この状況でも作れる可能性はあることに気づいた彼は、驚異的な生命力とルーミへの愛でまた立ち上がった。
国母は火を噴く、それで消し炭になった何かを歯に塗ったくるしかない、それだけが勝ち筋だと。
呆れるほどのしつこさに国母も驚き、これが金城が恐れるところかと納得。

そうは言っても死にかけの彼は、前回に火を噴いた状況を思い出し、頭部への大ダメージをまず与えなければならないと信じた。
そう作戦を立てても身体は限界、やはり力尽きて倒れた直後、国母は遠慮なく指で押し貫こうと指突を繰り出した。
しかしそれは罠、無防備を装って国母の屈み攻撃を誘ったのだ。

彼はジャンプ斬りで届くようになった頭部に一閃。
頭の付け根に刎ねないように斬りつけたはいいが、返す頭のヘディングで吹っ飛ばされ、体勢を変えられない空中で狙っていた火噴き攻撃を食らってしまう。
下半身にクリティカルヒットしたファイアーブレスは見た目通りに、火事場のバックドラフトを食らったようなもの。

絶叫しながら落ちた彼は溶けたブーツが足にまとわりつくわ、シンプルな火傷での激痛だわで、またしても絶望に襲われて立てる気がしなくなった。


































