夏の夜とスカートの中
悪夢を見て夜中に目が覚めた。
何か飲もうと台所の方にいくと、縁側で千夜が本を読んでいた。
まだ彼女は人間の身体の生活リズムに慣れていないらしく、暇つぶしに読書していたのだ。
何冊も積み上げられた本を見て、彼は姉を夜の散歩に誘った。
誰もいるはずのない深夜の田舎の道。
そう安心していたのに、夕は街灯の下に普通の人間には見えざるモノがいるのを見つけてしまった。
タイミングの悪さに顔を顰めると、どうやら千夜にも同じモノが見えているようだった。

その特別な力は彼にいい思い出を作ってくれなかった。
しかし千夜は、普通の人には見えないものが見えるのは、特別優しいからだと言ってくれる。
そんなあなただから、私は導かれたのかも知れないし、かつてと違って、夕に出会えてから色々なことを知ろうと思えだして、毎日がとても楽しいと笑顔を見せてくれる。
その時、はしゃいでいた千夜は足を踏み外して側溝の中に落ちそうになった。
夕は咄嗟に「お姉ちゃん!」と叫んで手を伸ばした。
だが千夜は触手で自分の身体を簡単に支えて止まり、彼は姉の身体に受け止められた。
千夜はまた嬉しい思い出が一つ増えた。
初めて夕が「お姉ちゃん」と呼んでくれたのだから。
また喜びで満たされていく彼女は彼を草むらに押し倒し、その上に跨ってもう一度と催促をする・・・

ある日のこと。
夕立が振り出して、二人で慌てて洗濯物を取り込んだ。
なかなか止みそうにない豪雨と共に雷鳴が轟くと、夕は思わず可愛らしい悲鳴を上げてしまう。
弟を怖がらせる雷様に怒り出した千夜に、夕はドリフのイメージで雷様とは何なのか伝えるが、彼女はあくまで悪魔的思考で化け物の姿を想像する。
実際にイメージを再現しようとして、トラ柄パンツの雷様の衣装に変化するが、やたらとセクシーな雰囲気に彼は戸惑ってしまう。

一番怖いものが犬だと打ち明けた夕。
悪魔の自分を怖がらないのに、そういうところは妙に可愛いことに千夜は呆れつつ、自分の一番怖いものが何かと考え、あの時、拒絶されたことが蘇ってくる。
その時、再び雷鳴が轟いて怯える夕。
どうにか弟を守ってやりたくなり、スカートの中を蚊帳の中に見立てて隠してあげた。

温もりと匂いが直に伝わりそうなほどの近さに、雷を怖がるどころじゃなくなっていく。
夏の風物詩がもたらしたものは、姉とのドキドキの思い出だった。
感想
姉なるもの1巻でした。
面白度☆6 ノスタルジック度☆8
田んぼや畑が広がる風景の中に、蛙やセミの鳴き声、趣のある日本家屋と綺麗な姉。
日常系ファンタジーと言っていいと思いますが、今のとこ千夜だけがファンタジーで、少しエロ要素もあって、ゆったり読めますね。
どこに着地するのか分かりませんが、シリアスにも日常系にも広げられそうです。
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