
インフェクション82話
ネタバレ感想
妹を助けられなかったことに苦しみ続けている小鳥。
恐ろしい夢にうなされながらも、天宮教授を心配して研究所に残った。
晴輝から彼女を任された榎並は、一緒に残った栄太に囁いて何かを画策する。
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82話 地下研究所での講義
研究室のドアをノックしようとしていた小鳥は、ふと考えた。
榎並に見透かされていやらしく笑われたせいなのか、自分はあくまで保菌者騒動を解決に導こうとしている教授を助けるためだけにここに残ったのだと言い聞かせる。
それは嘘じゃないと思うが、勇敢で頼もしい彼の笑顔がどうしても浮かんできてしまう。
その時、部屋の中から大笑いする声が漏れ聞こえてきた。
結局ノックせずに駆け込むように入ると、天宮教授を中心として研究者たちが楽しそうに笑っていた。
今までに見たことのない笑顔に研究が進展したのかと思ったが、全然そんなことはなく、むしろ原点から研究をやり直そうと開き直れたおかげで、逆に頭がスッキリして笑えてきたのだそうな。
テンションの上がった教授は、そのまま小鳥相手に講義を始めた。
ホワイトボードを前に、教授は保菌者の変遷を説明し始める。
まず初期段階の保菌者は、突然倒れた人間が虫だらけの状態で起き上がった。
次の新型は、保菌者が人を取り込み大量の水を摂取して虫が進化し巨体になった。
次の感染者は、保菌者に噛まれて仮死状態だった人間が、新型から霧散して白い粉を吸い込んで起き上がった。この状態では虫が確認できなくなる。
この3つは虫の進化による変化と考えられるが、この流れに当てはまらないメットが現れた。
高い知性。
修復能力。
自己進化を備えたメットが元の保菌者からどうやって進化したのか全く分からない。
さらにメットに殺されただけの人間が蘇り、謎は深まるばかり。
そこで教授はメットの核ではなく、大量に残された白い液体の方に着目した。
そこまで説明したところで教授は、保菌者の目が蛆虫だらけで黒目っぽい点が浮かんでいるだけなのに、どうして視力があるのか不思議に思わない?と小鳥に訊ね、もちろん不思議に思うと彼女は答えた。
教授は一体の蛆虫を用意して説明を始めた。
虫のように見える白い何かを真っ二つに切ると、中は内臓も何もない真っ白な中身で、両端にある穴は両方口で、食べた物を全てエネルギーに変えて排泄はしないと言う。
それは保菌者にも通じる。ただし内臓としての機能を全て虫が肩代わりして体が作り変えられているので、視力があった。
つまりこの虫は見た目こそ気持ち悪くても、全ての臓器の機能を柔軟に担える万能細胞であり、医学的にはとてつもない大発見とも言える代物だった。
ではこの虫の正体は何なのか?
さらに細切れにしても、それぞれが元の一つに戻ろうとうねうね集合しようと動き、小さな一つをすり潰しても再生しようとして動き続けた。
顕微鏡でようやく確認できるほどの微細な粒で構成されているのが、一匹の虫だった。
そこで今までの説明の共通点を訊かれた小鳥は、ある一点に気づいた。
メットも含め全て白い何かが関わっているので、メットの白い液体と保菌者の虫が同じなら、それを解明できれば謎が明らかになるはずだと。
小鳥と研究者たちの意見は同じだった。
だから原点である白い虫を解明して停止させる方法を見つければ、この騒動を終結させられるはずだった。
言葉にすれば簡単に聞こえるかもしれないが、未知の何かを解明するのが簡単なわけがなかった。
それでも彼らを水を得た魚のように活き活きとした表情で、それぞれの考えをぶつけ合っていく。
小鳥がこれからの研究に必要なものを訊こうとしたその時、彼女の頭に突然柔らかい感触が乗っかってきた。
それは榎並の胸で、小鳥はすぐに声を荒げて振り払おうとするが、年が近い同士で仲の良いところを見せておけば教授も安心すると言われて、仕方なく表情を和らげた。
改めて必要な電子顕微鏡とスーパーコンピューターはどこにあるのかと訊くと、それはかつて小鳥がいた平岡大学にしかなく、危険度からも入手は諦めているらしい。
それを聞いた榎並は「なるほど?」と、意味深に呟いた。
その直後、敵対グループが乗り込んできた。
鮫島の言い分は、犯人の疑惑がある天宮にはメットの核を触らせることはできないだった。
彼はあくまで冷静に、本来の専門分野からしても自分に保菌者騒動を起こせるようなものを作れるはずがないと弁解するが、彼女はそれさえも小バカにして笑い、聞き入れようとしなかった。
彼女はパソコンを提出しろと要求してきた。
この不毛な争いを終わらせるためなら、パソコンを渡すくらい仕方ないんじゃないかと小鳥が思った時、榎並が背中に抱きついて耳打ちしてきた。
パソコンを出そうがどうしようが、証拠を見つけるまで彼女は納得しないはず。だから根本的に疑いを晴らすために、娘を保菌者に殺された教授が犯人であるはずがない、犯人なら事前に家族を逃がすはずだ。
そう言えと榎並は囁いた。
娘のために死に、娘の一人を失った半沢教授のことは全員が知っているので、生き残った娘の一人が言えば、研究者たちに突き刺さり納得せざるを得ないと言う。
小鳥は、教授を助けたい思いと榎並を疑う心に揺れた。
結局小鳥は教授の事情を話し、研究の話し合いはまとまった。
榎並はトイレの中で新たな事実を小鳥に打ち明けた。
保菌者騒動が始まった時点で、家族が隔離地域の外にいた研究者がここには6人いること。
その6人の方がよっぽど犯人の可能性が高いから、小鳥自身の手で真犯人を見つけてみないかと。
戸惑う小鳥に、パソコンから間単にデータを抜き取れる機器を差し出した。
それは敵対グループから教授のデータを盗むように渡されたものらしいが、教授が犯人と思えなかった榎並は使わずに隠し持っていたのだ。
そしてそれをわざわざ小鳥にやらせようとする理由は、小鳥が自分をも騙そうとして考えないようにしていた気持ちに気づいているからだった。
天宮教授に恩を売って好印象を得ることで、晴輝の特別になりたいという気持ちだった。
感想
インフェクション82話でした。
ここからどう、血を見る結果になるのか楽しみです。
天宮教授への風当たりが弱くなったこの時期をあえて狙ったような榎並の囁きが、果たして天使のものなのか悪魔なのか。
そこに高木がどう絡んでくるのか。































