3話
佐原の声は誰にも届かず、どうやって千晶の凶行を伝えようか、事故現場の横断歩道で寝転がって女子生徒たちの下着の色を観察しながら考えていた。
幽霊になってしまったが、10年ぶりに再会した実和は何も話してくれず、当時何をして遊んだのかさえよく思い出せなかった。
著者名:町田とし子 引用元:おくることば1巻
人目を忍んで屋上で漫画の原稿を描いていた託は、近くでメイと友達が恋バナらしき話題でギャーギャーと話しているのにイラつき、ブツブツと文句を垂れまくっていた。
しかしそれはしっかり聞かれていて、ちょっと凄まれて言い返されるとすぐにビビり、原稿を抱えて情けない声を出しながら屋上から退散しようとした。
著者名:町田とし子 引用元:おくることば1巻
すると今度は扉のところで蓮乗とぶつかり、およそ5年弱ぶりにまともに話したことで、またどうしようもなくキョドってしまう。
二人も小さな頃は無邪気に遊んだ仲だったが、いつしか女性になっていった彼女の方はもう昔みたいにお転婆ではなくなっていた。
彼の方はずっと恋心を抱いていたのだが、その気持ちを伝えることはできなかった。
彼女が見ているのは死んだ今でも佐原で、彼に付け入る隙などなかった。
彼の名前を聞いただけでまだ涙が出るほど喪失感に打ちひしがれている彼女を、今度はメイが容赦なくバカにし、携帯を落とした時にも、今にも後を追いそうで引いたと笑い飛ばす。
著者名:町田とし子 引用元:おくることば1巻
彼にも、蓮乗じゃなくいつも一緒にいる男で手を打っとけとバカにするが、さすがに友達に殴られてようやく暴言をストップさせられた。
そこでいつも一緒にいる男子が事故死した人だと教えられて気づいたが、メイにはジャージ姿でうろついている姿が見えていたので、託と一緒にいた学ラン姿の佐原と死んだ生徒が結びつかなかったのだった。
そして、そのポロッと零した言葉を聞き逃さなかった佐原は、霊が見えるメイに伝えようと思って付け回し始めた。
著者名:町田とし子 引用元:おくることば1巻
4話
父親がインチキ霊媒師をやっているメイは、10年前に一度だけ、携帯のカメラ越しに実和の霊を見たことがあった。
そして10年後の同じ場所で、当時と同じ少女の霊と死んだばかりのジャージ男子の霊が一緒にいるのをカメラ越しに見て、少女に引きこまれてしまったのだと思っていた。
さらに数日後、蓮乗と千晶が事故現場で思いつめた様子で立っているところに、道路側に佐原の霊が見えたので、注意を逸らすためにわざと携帯を道路に投げて車に轢かせ、大騒ぎをしたのだった。
著者名:町田とし子 引用元:おくることば1巻
そして屋上では、蓮乗の背後に立つ佐原が千晶から守ろうとしているとは思いもよらず、彼女を付け狙っていると思ってイライラしていただけだった。
そこで口を滑らせ、佐原に気づかれたのだ。
それから事故現場の前で追いかけられたり、教室の机の下から覗きこまれたりと、色んな場所に出没されて徐々に神経をすり減らされていった。
著者名:町田とし子 引用元:おくることば1巻
しかし、ある男子の制服が盗まれてズタズタに引き裂かれた状態で焼却炉に捨てられていた事件を耳にし、幽霊とちゃんとコミュニケーションを取ってみようと覚悟を決めた。
放課後の人気のない廊下で対峙し、イエスなら床を2回、ノーなら1回叩くと方法を伝えると、ちゃんと2回鳴らしてくれた。
この前事故死した男子か? トントン。
付きまとうとのは引きこみたいからか? トン。
何かを伝えようとしているのか? トントン。
少女の霊に引きこまれた事故なのか? トン。
人に殺されたのか? トントン。
著者名:町田とし子 引用元:おくることば1巻
恐怖を押し殺して彼女がそこまで訊いたところで、ようやく意思を伝えられたは佐原は思わず笑みを零した。しかしメイには恐ろしい笑いにしか見えず、そこで逃げ出した。
考えないではなかったが、生きた人間による殺人事件は予想した中で彼女の中では一番大事のパターンだった。
5話
そして5話では、託がどうして佐原に悪意を抱くようになったのか、どうしてクラスの嫌われ者になってしまったのかが描かれる。
彼が描いた漫画による起こる騒動と、嫌な思いをした被害者。
メイは佐原とよく一緒にいた託から何か情報を得ようとするが、それは彼を追い詰めることになり、千晶が関わらないところで、新しい悲劇が起きようとしてしまうのだった。
感想
おくることば1巻でした。
面白度☆9 笑みの怖さ度☆9
凄く好きな感じのストーリーですし、可愛らしいデフォルメ絵も雰囲気を壊さずにアクセントになっていて文句なしです。
託の描いた漫画はちょっと深夜向きで、嫌われるべく嫌われたと思うので仕方ないですし、性格も大分歪んでるので、同情の余地はないですね。
それとメイの子供時代も今も嫌いじゃないです。ブラマンジャー万歳。




































