27話
山下は相変わらず疲れ切っていた。
いつの間にか斉藤のデスクに座っているくらいボーっとしていて、関根に指摘されるまで気づいていなかった。
慌てて立ち上がり、関根の名前も間違えてそそくさと帰ろうとすると今度は斉藤にぶつかってしまう。
しかし、頭の上から振ってくる心配してくれる声を聞くと、一瞬で目が覚めた。

それを会話の糸口にしてゆっくり話す気も起こらず、さっと謝って逃げるように帰った。
彼は少し違和感を感じたが、他の社員も帰り支度を始めた。
そして、鞄の中に自分のではないスマホが紛れ込んでいるのに気づかないまま、蜜が待つマンションに帰宅した。
玄関で出迎えた蜜は両手を広げて彼を抱き寄せ、おかえりのキスをした。
機嫌がいい理由をつわりが明けたからだとごまかしているのにも彼は気づかず、GPSで自分がどこにいるのか後輩女子に調べられているなど、余計に知る由もなかった。

山下は斉藤が帰宅した場所の建物をすぐに調べ、高級な高層マンションだとすぐに調べ上げていた。
会社の給料で買えるような物件ではなく、実家かとも思うがしっくりこない。

そこで、盗み撮りした彼のデスクに飾ってある写真の中に鈴木蜜らしい女性が見切れているのを再確認し、もしかしたら彼女の家かもしれないと勘繰った。
その時、風呂から出て来た長谷川に声をかけられ肩が跳ねた。

長谷川が来ているのを失念していた山下。
風呂の掃除が行き届いていないとグチグチ指摘してくるのにうんざりしつつ、こっちが折れないと追及を止めないねちっこさも理解しているので、自分の要領の悪さのせいだと仕方なく認めた。
それであっさり支配欲が満たされた長谷川は、ムードも何もなく胸に手を這わせた。

長谷川の器の小ささには辟易するが、なんだかんだと拒絶もできない。
男の喜ばせ方を身体で奉仕することしか知らない山下は、嫌いな男のモノでさえ咥えて支配欲を満たさせる。

しかし、頭の中は斉藤の顔を思い浮かべていた。



































