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113話

彼は即座に下がれとながみんに叫び、指示した。

 

しかしながみんは、保菌者が今までに無い姿に変わっても戦闘意欲を失わず、恐れもせず、しっかと黒い粒を見据え続けた。

 

そして薙刀を高速で回転させて盾とし、黒い粒を近づかせなかった。

著者名:及川徹 引用元:マガジンポケット

 

 

轟は加勢に行こうとするが、彼は丸太のような腕を掴み、引き止めた

 

助けに行かせないようにした彼は、ながみんがこれから何をされるのか、一瞬も見逃さないように集中力しろと自分に言い聞かせながら、目を見開いた。

 

 

極限まで引き上げた集中力は、周囲の雑音をかき消した。

 

黒い人型の保菌者が斬撃を受けると、一瞬でバラけて飛び交い、羽虫のように動き出した。

 

実際に羽虫のような小さい何かが集まったものなら、轟が助けに行ったところで犠牲者が増えるだけ。

 

彼はもう、ながみんを助けられないと判断していた

著者名:及川徹 引用元:マガジンポケット

 

 

その判断が正解だと言うように、黒い何かはながみんを覆い尽くそうとしていた。

 

ながみんはどうにか黒い渦の中から逃げ出そうと走るが、黒い何かは逃がすまいと追いかけ、まず眼前に寄り集まって視界を塞ぐのか、進行を妨げようとしたのか、とにかく顔に集った

 

ながみんは手を顔の前に翳し、とにかく逃げようと走り惑う。

 

どうすれば勝てるのかも分からない未知の相手に襲われるながみんから、彼は一瞬も目を逸らそうとはしなかった。

 

 

非情なる判断だったが、もうがむしゃらな正義感だけで自分を危険に晒すわけにはいかなかった。

 

いざという時助けるべきは共に生きると決めた3人だけで、彼女たちを悲しませる選択は間違いだと分かっていた。

 

 

 

そうこうしているうち、ながみんは完全に追いつかれてしまった。

 

黒い何かはながみんの腕に纏わりつき、まるで彼女自身が黒いオーラを放っているようにさえ見えた。

著者名:及川徹 引用元:マガジンポケット

 

 

いよいよながみんが殺される光景を見る覚悟もし、下唇を噛みながら自分の隊の隊員を見殺しにする悔しさを押し殺す。

 

死を無駄にしないために目を逸らすわけにはいかないと繰り返し、ついにながみんの顔面めがけて黒い何かは大量に突進した

 

水を被って息ができなくなったようにながみんは顔を背けた。

そして、口を開けて酸素を取り込んだ

 

 

その僅かな開口を見逃さず、黒い何かは一気にながみんの口に侵入していった

 

 

ながみん自身が吸い込んでいるようにも見えた一瞬の光景はすぐに恐ろしいものに変わった。

 

口を閉じたくても閉じられなくなったながみんの中に、全ての黒い何かが入ろうとしていく。

 

喉が盛り上がり、嗚咽を漏らし、直視するのはさすがに辛すぎたが、それでも二人とも目を逸らさなかった。

著者名:及川徹 引用元:マガジンポケット

 

 

ながみんはせめて、目からは入らせないようにギュッと瞼を閉じた

 

直後、周囲に飛び交っていた全てが猛スピードで口に飛び込んでいった

 

自然と顔が上を向き、落ちるように黒い何かが真下に吸い込まれていった。

著者名:及川徹 引用元:マガジンポケット

 

 

ほとんどがながみんの中に消えると、今度は静寂に包まれた。

 

 

中に入らなかった残りが地面にポタポタと落下しても、ながみんはまだ薙刀を手放していなかったが、彼女のお腹は歪な赤ちゃんを宿しているかのように、膨れ上がっていた

著者名:及川徹 引用元:マガジンポケット

 

 

赤ちゃんが蹴って存在を示すかのように、お腹が小さくぼこぼこと動いていた

 

 

ながみんが何をされたのか見続けた彼は、これから保菌者がどんな行動を起こすのかも見続け、その性質を見極めることに集中した。

 

ただ体内に入って中から食べて栄養とするのか、体内に入ることで何かを感染させるのか、そのどちらかで取るべき対応が変わってくる。

 

 

すると、ながみんは黒い何かを咀嚼して消化したもののような液体を吐き出した

 

彼はそれを見て取るべき対応を判断し、轟はもう確実に助からないだろうながみんを不憫に思いつつ、自分を助けてくれた隊長の彼に感謝した。

著者名:及川徹 引用元:マガジンポケット

 

 

ながみんを尊い犠牲だと割り切り、非情でも最善の判断をした彼が隊長なら、隔離地域を抜け出せると思えた。

 

しかし彼は、轟を止めておきながらながみんに向かって駆け出した

 

 

轟はさっきまでの対応と真逆の行動をした彼の意図を理解できずに戸惑ったが、彼が走り出したハンドサインを見て、ながみんを助けるつもりだと気づいた。

 

 

ながみんが吐き出せたのなら、体内に入られたからといってすぐ食い殺されるというものではない。

 

ならば感染させるのが目的であり、それなら香里に見せれば除去できる可能性があるはずだった。

 

 

彼はながみんに近づくもう一体の注意を堂々と引いた。

著者名:及川徹 引用元:マガジンポケット

 

 

感想

インフェクション112話113話でした。

歴女明石が酷使され、年上男性と二人きりでの泊まりになった関も、貴重な経験をさせられそうですね。

そしてバカで戦闘大好きなながみんは、窮地から脱することができるのか、それとも晴輝たちの前に最強最悪の敵として生まれ変わるのか・・・

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