30話
収穫祭がもうすぐの秋の早朝。
かなり寒くなってきた夜明けの風に吹かれた牛飼娘は仕事をしながら、収穫祭に向けて忙しくなる街の人たちと同じように、自分も頑張ろうと気合を入れ直した。
こんな時には彼に手伝って欲しかったが、今日も今日とてゴブリン退治に出ているので叶わぬ願いだった。

今回のゴブリン退治は女神官と二人きりだった。
巣になっている洞窟にはまだ入らず、岩陰に隠れながらスリングショットで一匹ずつ仕留めていたので、入り口付近に死体が増え続けていた。

続けてもう一匹仕留めて今で6匹。
現時点で分かるのは妙に装備が整っていることだけ。
それと、娘が攫われていることも分かっているが、被害に遭ってから半月過ぎていたので、生存している可能性は低いと見るしかなかった。
巣の中の動きがなくなった今、彼は装備を回収するのを女神官に手伝ってもらいたかったが、ゴブリンの死体を漁る行為は神官として、身体にゴブリンの血を塗りたくって臭いをごまかすよりハードルが高かった。
彼はそれならそれでいいと納得して援護を頼み、単身で回収に走った。

死体の傍には、それなりに使った形跡があるツルハシも落ちていた。
それでゴブリンの動きを読めた彼だったが、じりじりと忍び寄っている巣の際にいるゴブリンには気づけなかった。
女神官はすぐ危険を知らせながら、スリングショットを回して勢いをつけていく。
彼が咄嗟に前に飛んだタイミングに合わせて石を投げると、一撃必殺の直撃とはいかなくともしっかり腕に当てて武器を落とさせた。
彼はヒット音と苦痛の悲鳴目掛けて剣を投げ、7匹目を仕留めた。

女神官がちゃんと当てられたことに安心したのも束の間、彼は唯一の入り口前から移動すると指示を出した。
ツルハシがまだ湿っているほど使用形跡があることから、横穴を掘って奇襲しようとしているのは容易に想像できた。



































